研究

2015年8月15日

工学的解析技術による悪性中皮腫あくせいちゅうひしゅ客観的診断指標構築きゃっかんてきしんだんしひょうこうちくとリスク因子であるアスベスト小体自動判別法の開発

研究におけるご協力のお願い

悪性中皮腫の発生はアスベストの暴露と密接な関係があり、法的規制の結果アスベスト暴露は減少しましたが、アスベスト暴露から悪性中皮腫の発生までおよそ30~40年の潜伏期間があると言われており、日本は約2025年ごろに発生ピークを迎え、悪性中皮腫による死亡者数は2000年~2040年の40年間で約10万人になると予想されています。実際、わが国における悪性中皮腫の死亡数は年々増加傾向を示しています。悪性中皮腫の約80%の症例では、体腔液貯留を示すことが知られ、発病初期には体腔液貯留のみが出現し、画像診断では胸膜病変などの所見が明らかでなく、確定診断には体腔液細胞診が有効であることが多いです。しかし悪性中皮腫は他の疾患との形態学的鑑別が困難なことも少なくありません。これらの鑑別を明確にすることが急務であるとされます。この度、北里大学医学部呼吸器外科学では、工学分野でその有効性が実証されているテクスチャ解析などのさまざまな工学的解析技術を病理・細胞診分野に応用し、悪性中皮腫の各種特徴を抽出・比較検討することにより、細胞診標本による悪性中皮腫の診断が可能かどうかの研究を行うこととなりました。

研究対象:
平成4年 10月 1日~平成 26 年 12月 31日に当院で悪性中皮腫(あくせいちゅうひしゅ)の手術を受けた方のうち、病理組織学的に悪性中皮腫と反応性中皮細胞(はんのうせいちゅうひさいぼう)と診断された方の切除検体および体腔液細胞診(たいくうえきさいぼうしん)検体および反応性中皮細胞症例は細胞診で反応性中皮細胞と判断され、かつ悪性腫瘍が見出されなかった方の検体。また悪性中皮腫や肺癌症例でアスベスト小体が認められた気管支肺胞洗浄液細胞診検体。
研究実施期間:
倫理委員会承認日~平成31年3月31日
研究機関ならびに研究実施場所:
北里大学病院 呼吸器外科、北里大学病院 病院病理部、
信州大学 医学部 保健学科、東京工業大学

本研究で対象となるのは内視鏡的あるいは外科的に切除された病理・細胞診検体を用いるため、安全上の問題点にはなりません。個人情報の取扱いについては、学校法人北里研究所の倫理指針に基づき、対象となる患者の皆様の機密保護について配慮致します。なお、解析する上で個人情報は当院内においてのみ使用され、全ての患者の皆様は匿名化(名前が分からない状態にすること)され、氏名や住所などの個人情報は一切公表されることはありません。個人情報データは呼吸器外科研究室のコンピューターにパスワード保護のもと厳重に管理されます。研究で得られた結果は、個人が特定されない形で学会や雑誌などで報告されることがあります。
本研究の調査対象に該当する患者の皆様で、本研究に不参加の申し出がある場合は検体を検索対象より除外いたしますので、担当医または下記までご連絡下さい。

連絡先 :
〒252-0374 神奈川県相模原市南区北里1-15-1
TEL 042-778-8828, FAX 042-778-9741
北里大学医学部 呼吸器外科学
(研究代表者)北里大学医学部 呼吸器外科学 教授
佐藤 之俊(さとう ゆきとし)

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