歴史

北里大学医学部呼吸器外科学(北里大学病院呼吸器外科)単位の歴史

北里大学呼吸器外科の前身となる胸部外科学は、本医学部開設当初より循環器系の外科学と呼吸器系の外科学を担当する2つの単位が合わさった形で設置された。初代の石原 昭教授は昭和 46年 1月 1日付けで東京女子医科大学(榊原外科)より着任した。そして、北里大学病院が開院した昭和 46年 7月 26日の時点では、槍山輝男助教授(心臓血管外科担当)が東京女子医科大学より、また山本四郎講師(呼吸器外科担当)が京都大学より着任し、さらに、新潟大学を卒業した浅利秀男医師がレジデントとして採用され、合計 4名の人員でスタートした。胸部外科としての第一例目の手術は、心臓外科手術で、昭和 46年 9月、小児の心房中隔欠損症例であった。また呼吸器外科としての第一例目の手術は、昭和 47年 1月、小児の肺葉性肺気腫症例に対する肺葉切除術であった。

昭和 48年 10月には、吉村博邦医師(東京大学医学部第二外科学教室)が、財団法人結核予防会結核研究所付属療養所外科より専任講師として赴任し、平成 6年 5月には、胸部外科学の二代目主任教授に就任した。その後、昭和 53年 5月には、山本記顕医師が三井記念病院より異動し、昭和 56年以降は、本学の卒業生も講師として次々にスタッフに加わった。

診療のハード面では平成 10年 2月に北里大学病院の新棟が竣工し、それまで診療の中心であった旧棟 8B 病棟から新棟 5 階に新しく呼吸器センターが設置された。現在、センターでは、内科、外科の枠を越えて両者が密接な連携の下に診療が遂行されている。

胸部外科では、開院当初から心臓血管外科と呼吸器外科の両部門が連携して、教育、研究、診療に当たってきた。そして、近年の全国医科大学ならびに医療界における臓器別学問体系への動向とともに、平成 18年 4月胸部外科学は心臓血管外科学と呼吸器外科学に専門分科し、現在の呼吸器外科学(初代主任教授 吉村博邦)が誕生した。吉村博邦教授の定年退任を受けて、平成 19年 10月には、佐藤之俊医師が癌研究会有明病院呼吸器外科より呼吸器外科学主任教授として着任し、さらに、平成 20 年 4月には伊豫田明医師が千葉大学大学院医学研究院より専任講師として赴任し、同年 9月には根津賢司医師が愛媛県立中央病院より赴任し(平成23年3月まで在籍)、現在の体制が始まった。そして、平成23年4月には待望の新人医師2名が加わり、新たな呼吸器外科がスタートした。平成24年4月には助教 内藤雅仁医師が加わり、さらに、平成25年4月からは後期研修医1名と助教 三窪将史医師が加わった。そして、同年6月には准教授 伊豫田 明医師が東邦大学医学部外科学講座呼吸器外科学分野(大森)教授として栄転した。平成26年4月には、後期研修医2名が加わり、さらに、同年6月には北里研究所病院呼吸器外科教授として神谷紀輝医師が着任し、大学病院と北里研究所病院の連携が強化された。

なお、2014年5月には新大学病院が開院し、呼吸器外科は呼吸器内科とともに改装された一号館5階で、診療の新たなスタートをきった。そして、2017年4月ならびに2018年4月には、2年連続で後期研修医2名がそれぞれ加わり、2021年には2年ぶりに後期研修医1名が加わった。

学会や研究会の開催について、これまで当科として、第64回日本気管支学会関東支部会(平成 5年)、第9回日本肺癌手術手技研究会(平成 7年)、第11回世界気管支学会(平成 12年)、第 21 回日本呼吸器外科学会総会(平成 16年)、第15回日本気管食道科学会認定医大会(平成 17年)、第134回日本呼吸器内視鏡学会関東支部会(平成 22年)、第177回日本肺癌学会関東支部学術集会(平成 28年)などを開催してきた。平成29年7月には呼吸器外科サマースクール2017を神戸にて主催した。そして、2020年6月に第61回日本臨床細胞学会春期大会を開催した。

相模原地区を中心とした呼吸器外科カンファレンスは2012年3月から開始し、2019年の3月で第8回目を迎えた。また、毎年9月に韓国にて開催される日韓細胞診合同会議の日本側事務局は平成30年度から当科が務めている。

手術に関しては、最近の呼吸器外科の年間手術症例数の推移をみると、2008年には原発性肺癌切除が100例を超える呼吸器外科施設となり、2014年の新大学病院移設後も手術症例は増加し、2019年現在は年間220例を超える手術(原発性肺癌は150例以上)を行っている。なお、ロボット支援手術は、縦隔腫瘍に対しては2018年から、肺癌に対しては2019年から導入している。

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