頭頸部がんの切除後や外傷、感染などによって失われた組織を再建し、見た目だけでなく「話す」「食べる」「飲み込む」「呼吸する」といった大切な機能の回復を目指す治療です。
形成外科では、患者さんご自身の皮膚や筋肉、脂肪、骨などを用いた再建(遊離組織移植)を中心に、それぞれの患者さんに合わせた再建方法を選択します。
当院では頭頸部外科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、リハビリテーション科などと連携し、機能と整容性の両立を目指した治療を行っています。
頭頸部再建
担当医
- 石井 直弘
- 松浦 直樹
頭頸部再建とは
このような方が対象です
- 口腔がん
- 舌がん
- 下咽頭がん
- 中咽頭がん
- 喉頭がん
- 上顎、下顎がん
- 放射線治療後の難治創
- 顔面・頸部外傷
- 顎骨壊死
- 頭頸部感染後の組織欠損
当院で行っている再建術
- 前外側大腿皮弁(ALT)
- 前腕皮弁
- 腓骨皮弁
- 広背筋皮弁
- 遊離空腸移植
- 局所皮弁
- 有茎皮弁
私たちが大切にしていること
- がんを治すだけではなく生活を取り戻す
- 食事・会話・表情をできる限り保つ
- 機能と見た目を両立する
- 多職種で支える
- 一人ひとりに合わせた再建方法を選択する
マイクロサージャリー(顕微鏡下手術)とは?
1. マイクロサージャリーとは?
マイクロサージャリー(顕微鏡下手術)とは、手術用顕微鏡や高倍率ルーペを用いて、直径0.5~3mmほどの血管や神経を縫い合わせる高度な手術技術です。
肉眼では困難な精密な操作を行うことで、体のさまざまな部位から採取した組織を新しい場所へ移植したり、切断された血管や神経を修復したりすることが可能になります。
2. どのような治療に用いられるの?
- 頭頸部再建
がん切除後の口やあご、のどなどを再建します。 - 乳房再建
お腹などの組織を用いて乳房を再建します。 - 外傷
切断された指や手足の再接着、複雑な外傷の再建を行います。 - 神経再建
神経損傷や顔面神経麻痺に対する神経移植・神経移行術に応用されます。
3. 遊離組織移植とは?
マイクロサージャリーを代表する手術が「遊離組織移植(遊離皮弁)」です。
皮膚・脂肪・筋肉・骨などを血管ごと採取し、欠損部へ移植した後、顕微鏡下で血管を吻合して新たな血流を確立します。
この技術により、大きな組織欠損に対しても、機能と整容性を両立した再建が可能になります。
4. マイクロサージャリーの特徴
- 自分の組織を利用した自然な再建が可能
- 大きな欠損にも対応できる
- 骨・筋肉・皮膚など必要な組織を組み合わせて再建できる
- 機能(食べる・話す・歩く・表情を作るなど)の回復を目指せる
- 整容面にも配慮した治療が可能
5. 当院で行っているマイクロサージャリー
- 頭頸部がん切除後の再建
- 顔面神経麻痺の機能再建
- 四肢外傷
- 難治創
- 神経再建
6. よくある質問
例えば
Q. 血管はどれくらい細いのですか?
→約1〜3 mm程度です。
Q. 手術時間は長くなりますか?
→一般的な手術より長時間になることがあります。
Q. 移植した組織は生着しますか?
→血管(動脈・静脈の)を顕微鏡下で再建するので、体の遠い部分に組織を移植できます。一般的には96-97%の生着率が報告されています。
マイクロサージャリーは単に細い血管をつなぐ技術ではありません。失われた形態や機能を回復し、患者さんが再びその人らしい生活を送れるよう支える、形成外科の中核となる技術です。
