創傷治癒過程で線維成分、結合織の過度に増殖した状態です。創部を超えて増殖する場合をケロイド、創部を超えずに増殖する場合を肥厚性瘢痕と呼びます。肥厚性瘢痕は手術など皮膚への外傷が加わった部分に生じます。ケロイドも同様の場合に生じますが、外傷と関係なく、誘因なしに生じることもあります。
ケロイドの好発部位は前胸部・肩部・恥骨部・耳垂部などです。ケロイドも肥厚性瘢痕も皮膚面が赤く盛り上がり、痛みや痒みを伴うことが多く見られます。肥厚性瘢痕は一般に自然に軽快する消退傾向があります。ケロイドに対する治療法としては薬物療法(抗アレルギー剤、ステロイド剤など)、手術療法、放射線療法、物理療法(圧迫など)を症例に応じて組み合わせて最適な治療法を選択して行っています。臨床的にはケロイドと肥厚性瘢痕の中間的状態も認められ、肥厚性瘢痕であっても治療対象となることが少なくありません。また、臨床分野のみならず基礎研究分野でも疾患発症に関する分子生物学的な解析を進めています。このデータは将来の新たな治療法の開発や疾患発症の予防に繋がるものと期待されます。