手外科外来

担当医

 手は緻密な運動機能や感覚機能を持っており、日常生活において非常に重要な役割を果たしていますがその重要性は意外と気付かれていません。病気や怪我によって支障が生じた時に初めて手の重要性を認識します。一方、生まれつき手指が欠損していたり、十分に伸びなかったり、曲がったりしない小児は、その状態で手を使うように学習するので本人は傍でみるより不自由さを感じていないことが多いようです。

 手外科ではリハビリテーション部の協力を得ながら

  1. 手に生じた障害に対し適切な治療で重症化を予防すること
  2. 障害された手を正常に近い使いやすい状態に機能再建すること
  3. 先天異常手では患児の成長に配慮した低侵襲の治療を行うこと
  4. 再建手術では機能再建はもとより整容面に配慮した手術を行うこと

などを考えて診療にあたっています。

北里大学病院形成外科・美容外科は日本手外科学会の手外科研修基幹施設(認定番号第10054-00)に指定されており、手外科専門医を目指す医師に対して手外科専門医2名(常勤1名、非常勤1名)が積極的に教育指導を行っております。さらに日本手外科学会及び関連学会、研究会の活動を通じて最新の良質な医療が提供できるように努めております。

手外科外来で扱っている疾患は手指から肘までの①骨折、脱臼、靭帯損傷 ②腱損傷(屈筋腱、伸筋腱)③末梢神経障害(末梢神経損傷、手根管症候群・肘部管症候群等の絞扼性神経障害、麻痺手の再建など) ④循環障害(血管損傷、コンパートメント症候群など) ⑤先天異常(合短指症、橈側列形成障害、尺側列形成障害、母指・小指多指症、合指症、裂手症、巨指症、短指症、絞扼輪症候群など) ⑥関節変性疾患(ヘバーデン結節、母指CM関節症など) ⑦炎症性疾患(化膿性関節炎、化膿性骨髄炎、化膿性腱鞘炎、ばね指・ドケルバン病等の狭窄性腱鞘炎など) ⑧腫瘍および類似疾患(軟骨腫、グロムス腫瘍、腱鞘巨細胞腫等の良性腫瘍、悪性腫瘍、ガングリオンなど) ⑨拘縮(熱傷後瘢痕拘縮、デュプイトラン拘縮、フォルクマン拘縮など) ⑩手関節疾患(キーンベック病など) ⑪特殊な外傷(熱傷、電撃傷、化学損傷、爪損傷など) ⑫マイクロサージャリーによる再建(欠損手指の再建など)です。

手外科外来では形成外科の特徴を生かしながら手外科疾患全般にわたって幅広く診察させていただいておりますが、四肢(指)切断をはじめ緊急手術の適応となる手の外傷は当院救命救急センター形成外科診療班で扱います。また、疾患の内容によっては適切な治療が受けられる専門施設に紹介させていただくこともあります。