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研究部門紹介


低侵襲・ロボット支援手術部門

部門長:岩村 正嗣

部門長:岩村 正嗣

検査や手術が患者に与える肉体的、精神的苦痛を「侵襲」と言います。われわれ北里大学泌尿器科では1972年の大学病院開院以来、継続して治療の「低侵襲化」を診療の柱と位置づけ、新たな低侵襲治療法の導入や開発、そして教育活動などを積極的に行って来ました。患者に優しい低侵襲治療は数多く存在しますが、従来の治療法に比較して治療効果が劣るようでは本末転倒になってしまいます。我々が目指す「低侵襲代替治療」とは、従来の治療法と同等の治療効果を維持し、より患者に優しい医療なのです。

北里大学における低侵襲代替療法は、初代教授の小柴 健先生が米国で発展した経尿道的前立腺切除術(TURP)を開院当時から導入された事に始まります。当時、前立腺の良性疾患である肥大症の標準治療は開腹による被膜下切除術でしたが、当院で行うTURPは開腹手術に伴う出血や合併症を激減させ、90年代には開腹手術に替わってTURPが前立腺肥大症の標準治療となりました。1985年には尿路結石に対する体外衝撃波結石破砕装置を国内でも早い段階で導入し、教育関連施設である相模台病院に設置、同時に導入した尿管鏡手術や腎盂鏡手術により本邦における尿路結石治療法が革新されるに至りました。

近年では、今や外科手術の主流となった腹腔鏡手術を早期より取り入れ、特に1998年に前教授の馬場志郎先生が就任されてからは腎摘除術、腎盂形成術、前立腺全摘除術、膀胱全摘除術などに適応を拡大し、豊富な症例実績を有しています。この間、数々のエビデンスを北里から発信してガイドラインの構築に貢献しただけでなく、多くの腹腔鏡手術指導者を輩出しています。


図1

2013年10月からは、手術支援ロボット da Vinci が大学病院と教育関連施設であるうわまち病院に導入されました。現時点では保険適応のある前立腺癌を治療対象としていますが、今後は当科を受診される患者数が多い腎癌や水腎症、膀胱癌などの手術にも適応を拡げて行く予定です。




図2

当科の診療の特徴のひとつに前立腺癌に対する放射線療法があります。特に泌尿器科と放射線科が協力して施行している小線源療法の診療実績は豊富で、大学病院を含む他施設への啓蒙や治療導入を積極的に援助しています。北里大学泌尿器科では、ロボット手術、腹腔鏡手術、小線源療法、強度変調放射線療法(IMRT)など、前立腺に限局した前立腺癌に対して行い得る全ての低侵襲根治治療が患者のニーズに合わせて施行可能な体制が整っています。



教授

その他、前立腺肥大症に対してTURPよりさらに低侵襲なレーザー核出術や男性尿失禁に対する人工括約筋埋め込み術などもすでに開始しており、今後、確実に訪れる高齢化社会を見据え、主に高齢者のQOL疾患に対する低侵襲治療にも力を入れて行きたいと考えています。