北里大学病院・東病院 ME部

Kitasato University Hospital Department of Medical Engineering
Kitasato University East Hospital Department of Medical Engineering


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第25回日本臨床工学会参加報告

 2015年5月23日・24日、福岡県にて第25回日本臨床工学会が開催されました。私は発表はありませんでしたが、機会を得て参加させていただきました。これが私にとって初めての学会参加となりました。
 日本臨床工学会では、全国の臨床工学技士が研究の成果を持ち寄り発表を行う一般演題、パネルディスカッション、講演やシンポジウムなどが行われます。一般演題は大きく二つに分かれ、スライド発表とポスターセッションがあり、当院からは、スライド発表2名、ポスターセッション1名が発表を行いました。
 一般演題は、呼吸器・手術関連・手術関連・機器管理・血液浄化・集中治療などの分野に分かれ、発表が行われました。当院からのスライド発表である「小児心臓カテーテル検査中におけるアコースティック呼吸数の有用性」では、マシモ社製パルスオキシメータであるNewRadical-7に登載された呼吸数モニタリング機能を使用して、小児心臓カテーテル中の呼吸抑制などによるバイタル変化を事前に防ぐことができた症例を挙げ、その有用性が示されました。「電気メス点検時に発生した医療ガス圧力監視盤の誤作動経験」では、当院の総合手術センター内MEにおいて行われた高周波数帯電気メスの点検時に高周波漏れで電流を測定したところ、付近の医療ガスの圧力監視盤が誤作動を引き起こし、数値変動によりアラームが発生したことから、その後の対策として圧力監視盤内の配管にアース線を取り付ける対策をとったことを例に挙げ、EMC対策が取られているとしてもこのようなトラブルが起こる可能性があるという注意喚起がなされました。ポスターセッションの「着用型自動除細動器LifeVestの症例報告」では、当院でも昨年から導入されてきた着用型除細動器の患者導入までの流れや臨床工学技士がどのように関わっていくか、また、イベントの確認をWeb上でしか行う事ができないという問題点も提起されました。しかし、患者本人の生活面での事情などを考慮し本人の意思で使用することで、QOLの面でもICD植込みまでの橋渡し役として着用型除細動器は有用であるということが示されました。
 2日間とも、お昼にはランチョンセミナーが行われました。臨床工学技士が携わる各分野のゲストを招き、貴重なお話を聞くことができました。私は、1日目は人工心肺で使用するリザーバ・人工肺の開発者によるセミナー、2日目はPCPSやIABPの管理の現状についてのセミナーを聴講しました。今後の業務にも役立つ、有意義なセミナーでした。
 発表の他にも、医療機器メーカーによるブースが多数あり、商品案内等が行われていました。普段扱うメーカー以外の機器を知る良い機会となりました。
全国の臨床工学技士の研究発表を目の前にして、自分が目指すべきものが見えてきました。日ごろ感じた疑問を、自分で考え、その考えを先輩方や上司と共有し解決していくだけでなく、そこからさらに広げていくことで、患者さんのための医療を提供することができる臨床工学技士と言えると思いました。今回の学会参加で、実際の業務中の考え方も大きく変わりました。すべては患者へつながることですので、一つ一つの疑問を無駄にせず、日々学んでいきたいと思います。そして私も、全国の臨床工学技士の前でその成果を発表できればと思っています。このような機会をいただけて本当に感謝しています。
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