業務紹介

中央薬剤業務

調剤業務

処方箋に基づく調剤

調剤室では医師が発行した処方箋に基づき、患者さんに必要な薬を調剤します。

以下のように処方箋には多くの情報が記載されています。患者さんの体格や年齢、臓器機能に応じた用法用量の妥当性や、医薬品の特性、薬物間相互作用、処方日数等を総合評価した上で調剤を行います。

また当院では経口摂取が困難でチューブを使用している患者さんに対して、錠剤やカプセル剤等をぬるま湯に懸濁させて投与する簡易懸濁法を導入しています。チューブ情報のある患者さんの調剤では、処方箋右端の記号に応じて適宜、他剤変更や粉砕指示等の提案を行います。

当院の入院処方箋

医薬品には錠剤、点眼薬、外用薬等の計数調剤が可能な剤形もあれば、散剤、水剤等の計量調剤が必要な剤形もあります。また心身の特性や処方薬が多い場合には、一包化調剤をすることもあります。衛生的で正確な調剤を心掛けています。

水剤調剤

散薬調剤

計数調剤

一包化調剤

以下は調剤室に配置されている調剤支援機器です。調剤時間の短縮や、調剤の正確性向上に役立てています。機械による調剤であっても一包化の分包ミスや散薬の分包誤差や異物混入が発生する場合があるため、必ず正しく調剤されているかを確認しています。

全自動錠剤分包機

散薬調剤ロボット

散薬調剤システム

自動散薬分包機

注意深く調剤をしていても一定の確率でヒューマンエラーは発生してしまいます。ヒューマンエラーの発生を最小限にし、安心・安全な調剤が実施できるように種々の工夫を行った上で複数名にて確認しています。

調剤棚や周囲環境への注意喚起

PDA端末を用いた調剤

抗がん薬や抗血栓薬等の特に注意を要する
医薬品の調剤に利用しています

調剤実績

  2022年度 2023年度 2024年度
入院処方箋枚数 196,924 214,538 218,000
外来処方箋院内枚数 33,460 33,403 27,671
院外処方箋発行率 (%) 92.3 92.0 93.5

入院前薬剤師面談

手術や観血的処置をする患者さんに対して入院前に薬剤師が面談を行います。術前休薬が必要な薬があった場合、休薬期間が適切であるかを評価します。休薬対象薬および休薬期間は院内で定め、抗血栓薬や糖尿病治療薬、女性ホルモン製剤を管理しています。患者さん毎に文書を交付して休薬等の指導を行い、手術・観血的処置が計画通り安全に実施されるよう支援しています。

薬剤師面談の様子

説明文書

薬剤師面談実施件数

  2022年度 2023年度 2024年度
呼吸器外科 232 294 329
泌尿器科 1,269 1,164 1,094
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 835 901 949
糖尿病・内分泌代謝内科 8 12 8
整形外科 1,531 1,554 1,538
一般・消化器外科 907 832 860
婦人科 590 634 622
乳腺・甲状腺外科 687 723 704
脳神経外科 192 196 203
形成外科・美容外科 453 432 481
皮膚科 11 29 41
消化器内科 159 526 643
循環器内科 - 44 51
心臓血管外科 - - 3
合計 6,874 7,341 7,526

麻薬管理

医療用麻薬は癌性疼痛の治療や麻酔等に使用されます。滅失や盗取、不正使用を防止するために関連法規に従い厳格な管理が求められます。医療用麻薬は薬剤部の麻薬金庫で一元管理され、一施用毎の払い出しを行っています(一部の部署を除く)。施用後の残液や空アンプルは薬剤部に返却され適切に処理しています。医療用麻薬の誤投与や誤調製等が発生した場合は、麻薬管理者に報告しています。滅失や盗取等があった場合は、速やかに神奈川県庁に報告しています。

また各部署において適切な管理がなされているか、医師、看護師、薬剤師で定期的に巡視しています。

医療用麻薬の調剤時

在庫管理システムを用いて2人体制で在庫確認しています

製剤業務

院内製剤について

調剤業務の予製、市販されていない製剤(不安定な薬剤、海外で使用されているが日本での製品が無い薬剤、同一成分はあるが規格・単位が異なる薬剤)の調製を目的としています。また、治験と異なり治療を目的としており、患者個々の状態に応じた製剤の調製により、臨床からの細かいニーズに対応できる点が製剤のメリットです。



業務実績(2024年度)
品目 品目数 品目 品目数
注射剤 17 点耳薬 1
点眼剤 19 軟膏剤 24
外用液剤 18 散剤 7
内用液剤 5    


乾性製剤室業務

散剤の調製



湿性製剤室業務

点眼剤、眼軟膏剤、院内で使用するIVH、入院TPN調製などの無菌製剤の調製、内用液剤、外用液剤、軟膏剤などの湿性製剤、半固形製剤の調製

クリーンベンチ

石川式撹拌擂潰機



洗瓶室業務

充填容器、病棟・外来各科からの返却容器の洗浄

サーパス自動洗浄機

アンプル洗浄機



クリーンルーム業務

注射剤、在宅中心静脈栄養輸液の調製



滅菌業務

注射剤、液剤、無塵着などの滅菌

高圧蒸気滅菌器

蒸留水製造装置


試験室

試験業務

市販されていない試薬の調製、医薬品の鑑別試験、主に研究を目的とした薬物濃度の測定を行っています。

がん診療支援薬剤業務

抗がん薬調製業務

安全で高品質な注射抗がん薬治療を提供するため、休日も含め全ての注射抗がん薬を薬剤部で無菌調製しています。

①処方監査
治療薬の選択・治療日の間隔・副作用状況・治療当日の患者さんの体調等を確認し、疑問点がある場合には医師に問い合わせを行います。
②調製準備
注射オーダに基づき、抗がん薬調製に必要な薬品や物品を取り揃えます。
③無菌調製
安全キャビネットという調製設備と個人防護具(ガウン、手袋、マスク、キャップ)の使用により、無菌調製の環境整備とともに調製者への抗がん薬曝露防止に努めています。また、調製支援システムの導入により、薬液採取量の計算間違いの防止、業務の効率化に取り組んでいます。
④鑑査
治療薬が正しく調製されているか、また、異物の混入等がないか確認を行います。
レジメン管理

がん薬物療法のレジメンとは、抗がん薬、輸液、制吐薬などの支持療法の投与量や投与方法、投与時間や間隔などを時系列でまとめた治療計画のことを指します。新しい薬が次々と上市され、治療内容も複雑化する中で、がん薬物療法を安全・安心に遂行することはなにより重要です。

がん診療支援薬剤部門にはレジメン管理室が設置されており、薬剤師の視点からレジメンの妥当性を評価し、レジメン管理システムを用いて作成しています。それをもとに多職種で構成されるレジメン審査委員により厳密に審査した上で承認・登録され、初めて使用可能となります。当院で使用可能なレジメンは、すべてレジメン管理室が登録・管理を行っています。

院内で行われるがん薬物療法は安全性・有効性が認められなければいけません。

多職種で構成されるレジメン審査分科会で審査を行っています。

外来がん患者指導/相談業務

近年、患者ニーズの変化、副作用対策の充実などにより、入院せずに外来でがん薬物療法を受ける患者さんが増えています。
病棟薬剤師同様、チーム医療の一員として安全ながん薬物療法を行うため、薬剤師による説明/相談を行っています。


通院治療室

患者さんへの問診
(医師の診察前)

指導開始前のブリーフィング

通院治療室での服薬指導

外来がん患者指導/お薬手帳シール交付

安全に治療を継続するために集学的がん診療センターで治療を受けた患者さん全員に当日使用した薬に関するお薬手帳シールをお渡ししています。

お薬手帳に抗がん薬治療の情報があると…

薬局にて注射の抗がん薬の治療内容も含めたお薬の説明が受けられます。
また、治療内容に合わせた内服抗がん薬の飲み方や、副作用の確認ができます。

外来がん化学療法連携充実加算について

令和2年度の診療報酬改定に伴い、当院におきましても外来がん化学療法連携充実加算の算定を行っています。これに伴い、当院では患者様に治療内容や副作用発現状況等を記載した「外来がん薬物療法の治療進捗報告書」をお渡ししています。患者様から報告書が提示されましたら、内容をご確認ください。また、保険薬局薬剤師が確認された服薬状況や副作用の発現状況、処方等に関するご提案などがございましたら、服薬状況・副作用確認シート(トレーシングレポート)にて病院への情報提供をお願いします。
地域の保険薬局や保険医療機関の皆様とともに患者さんへの安心・安全ながん薬物療法を提供できるよう尽力してまいります。ご協力のほど、よろしくお願い致します。
運用に関する詳細や当院で施行しているがん化学療法レジメンは下記よりご参照ください。

薬剤管理業務

  1. 医薬品在庫管理

    SPD(Supply Processing &Distribution )の導入

    物流システムによる購入~供給の一括管理

  2. 毒薬の管理(麻薬・向精神薬は調剤室管理)

    病棟ごとの使用頻度を考慮した定数配置制

    適正使用に向けた取り組み

  3. 特定生物由来製品の管理

    使用薬剤の患者およびロット管理

  4. 注射薬の調剤・監査

    注射薬自動払出システムによる、一施用毎の払い出し

薬品管理業務 薬品管理業務

業務実績(2025年6月実績)

入院注射箋枚数 17,181件/月

※注射箋枚数実績について

  • 注射箋枚数を数えることは現運用で日報つけておらず大変な業務
  • 例年6~7月に注射箋枚数の調査依頼があり、管理担当薬剤師がひと月分の注射箋枚数を数えている
  • 薬剤部HP更新は例年7月ごろ
    → 上記より、管理担当薬剤師が数えたデータを業務実績として反映、今後の更新でも活用

医薬品情報業務

DI室
  1. 医薬品情報の収集・整理・評価
    最新の医薬品情報を収集・整理し、専門的な視点で評価・管理しています。
  2. 医療従事者からの質疑対応
    医師・看護師などからの問い合わせに、迅速かつ的確に情報を提供しています。
  3. 能動的な情報発信
    安全性や新薬などの情報をDIセンターニュース等を活用し、随時能動的に提供しています。
    例) DIセンターニュース
  4. 医薬品供給への対応
    医薬品の供給不足や流通問題に対し、代替品の提案など適切に対応しています。
  5. 薬剤師臨床業務への支援
    病棟担当薬剤師とのカンファレンス等を通じて薬剤に関する情報を共有し、臨床現場を情報面から支援しています。
  6. 教育と育成支援
    学生や新人職員への研修・ガイダンスを通じて、薬剤師教育にも貢献しています。
  7. 委員会活動への参画
    院内の医薬品に関する各種委員会に参画し、資料作成・提供を行っています。
  8. 地域連携
    同一地域の病院・薬局との連携により、患者医療やDI業務の質向上を目指しています。

医薬品情報業務

採用品目数(2025年5月現在)

本採用医薬品 1,879品目