顎口腔外来

口腔・顎顔面

顔面外傷、顎顔面の変形症、唇顎口蓋裂患者等の咬合管理並びに口腔管理の観点から歯科口腔外科専門医1名が1980年4月より形成外科・美容外科学に所属し、外来診察、入院治療にチーム医療として参加しています。
また、当院歯科と連携し、口腔疾患の治療も積極的に行っています。

主な対象疾患の特徴

1.顎骨骨折

 当大学は高次救急医療施設であるため顎顔面骨折患者の約25%に合併損傷を認めています。一般的に頭蓋内損傷や胸腹部臓器損傷を伴っていると、顎顔面骨折の治療が遅れ、その後の治療を困難にします。当科では受傷で搬送された時点から救急医療に参加し、如何に合併損傷の治療と平行して顎顔面骨折の治療を進めるか念頭に早期機能回復を目指しています。

2.口唇裂・口蓋裂児へのチーム医療

 歯科口腔外科医のこのチーム医療での具体的な治療は人工口蓋床治療と顎裂部骨移植治療を担当しています。

  1. 人工口蓋床は口唇口蓋裂児の顎口蓋裂部を被覆する「乳児の入れ歯」のことで、生後まもなくから口唇形成手術までの間に行っている新しい補助的な治療法です。この人工口蓋床は
    • 哺乳障害を改善、
    • 顎発育を良好に誘導、
    • 舌が顎裂、口蓋裂内に入り込みを防ぐ「舌悪習癖の改善」等を目的にしています。
  2. 顎裂部への骨移植手術は顎裂部へ腸骨海綿骨細片を充填する手術です。この手術を受けたお子様は、顎裂部に移植された腸骨細片が、2-3か月後に本来の歯槽骨と一体化し歯槽骨として働きます。その結果、これから萌出する永久歯に対して萌出の場所を提供したり、移植骨部へ歯をたやすく動かせるようになり口唇裂・口唇口蓋裂のお子様の歯科矯正治療に役立ちます。現在では本治療は口唇口蓋裂一貫治療の一つに組み込まれるようになっています。この手術時年齢は歯科矯正専門医と協議の上、5-10歳までの至適な時期に二次的に行います。