各分野の特徴と診療実績

婦人科腫瘍分野

子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどの悪性腫瘍に対して、正確な診断を行い、手術療法、化学療法、放射線療法などの治療を行っています。子宮頸がん、子宮体がんに対する低侵襲手術(腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術)に積極的に取り組んでおり、良性腫瘍に対するものも含めて低侵襲手術症例数が飛躍的に増加しています。婦人科良性・悪性腫瘍に罹患された患者さんに対して、適応を見極めた上で患者さんとご家族に腹腔鏡でもロボット支援手術でも開腹手術でも適切な術式を提案し、希望する術式をどれでも提供できる体制を整えています。進行卵巣がんに対しては、最も予後が良好であることを目指して初回手術における残存腫瘍なしを目指した拡大手術を標準術式化し、その手術の質は確実性・安全性の面から国内はもちろん国際的にも先進的であると自負しています。また、国内、海外施設も含めた国際的な多施設共同臨床試験に参加しており、より有効ながん治療の開発を目指しています。

子宮体癌を対象としたセンチネルリンパ節手術の実施について

当院では、2026年4月より「子宮体癌を対象としたセンチネルリンパ節手術」を開始いたしました。センチネルリンパ節(SLN)とは、癌が最初に転移すると考えられる「見張り役」のリンパ節のことです。 このリンパ節に転移がない場合、他のリンパ節にも転移がない可能性が高く、リンパ節郭清を省略できる場合があります。系統的リンパ節郭清の有害事象としてリンパ浮腫やリンパ嚢胞などが挙げられますが、センチネルリンパ節を同定することでリンパ節郭清を回避し、術後合併症の軽減を図ることが可能になります。センチネルリンパ節の同定にはいくつかの方法がありますが、当院ではインドシアニングリーン(ICG)という薬剤を使用しています。 ICGは蛍光を発する色素で、赤外線カメラを用いてリンパの流れとリンパ節を確認します。
摘出した臓器およびリンパ節は詳細な病理検査を行い、その結果に基づいて、追加治療(抗がん剤治療や放射線治療など)の必要性を判断します。

センチネルリンパ節生検はすべての患者様に適応となるわけではなく、患者様の病状や既往によっては適さない場合があります。詳しくは担当医にお尋ねください。

卵巣癌に対する腹腔鏡下手術について(先進医療)

現在、卵巣癌(卵管癌・腹膜癌を含む)および卵巣境界悪性腫瘍に対する根治手術では、子宮全摘出術、両側付属器摘出術、大網切除術、骨盤リンパ節郭清、傍大動脈リンパ節郭清などを組み合わせた開腹手術が標準的に行われています。これらの手術は治療効果が高い一方で、患者さんの身体への負担が大きく、術後疼痛や腸閉塞などの周術期合併症を生じることがあります。

一方、婦人科領域では、子宮体癌や子宮頸癌に対する腹腔鏡下手術が広く普及しており、安全性や低侵襲性が示されています。卵巣癌に対する根治手術は、子宮体癌や子宮頸癌に対する腹腔鏡下手術と共通する手技を多く含むことから、十分な技術と経験を有する施設においては、腹腔鏡を用いた低侵襲手術の応用が可能と考えられています。

2025年4月より、腹腔鏡下卵巣癌根治術は先進医療として実施できるようになりました。当院でも先進医療としての実施を目指して、腹腔鏡下卵巣癌根治術を導入し、術後回復の促進や周術期合併症の軽減を目指した治療に取り組んでいます。

本治療の適応については、病変の広がりや組織型、既往歴、全身状態などを踏まえて慎重に判断しています。すべての患者さんに実施可能な治療ではないため、適応の詳細につきましては担当医へご相談ください。また、本治療は自費診療で実施されます。

子宮頸癌に対するロボット支援下手術

子宮頸癌に対するロボット支援下手術が2026年より保険適応になっており、当院でも、子宮頸癌に対するロボット支援下手術を導入いたしました。

ロボット支援下手術は、術者がロボットアームを操作して行う低侵襲手術であり、従来の開腹手術と比較して、創部が小さいことによる術後疼痛の軽減や出血量の減少、術後回復の促進などが期待されています。

子宮頸癌に対する治療法は、病期や腫瘍の大きさ、患者さんの全身状態などを総合的に判断して決定されます。ロボット支援下手術はすべての患者さんに適応となるわけではなく、適応については慎重に検討を行っています。

詳細につきましては、担当医へご相談ください。

骨盤臓器脱(子宮脱)に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)

当院では、骨盤臓器脱(子宮脱)に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(Laparoscopic Sacrocolpopexy:LSC)を開始いたしました。

骨盤臓器脱は、加齢や出産などを契機に骨盤を支える組織が弱くなることで、子宮や膀胱、直腸などが下垂する疾患です。違和感や下垂感、排尿・排便障害などを生じることがあります。

腹腔鏡下仙骨腟固定術は、メッシュを用いて下垂した腟を仙骨に固定する手術であり、腹腔鏡を用いることで身体への負担を軽減しながら、解剖学的な支持を再建することが可能です。術後の疼痛軽減や早期回復が期待されています。治療をご希望の方、ご興味のある方は担当医へご相談ください。

診療実績

子宮頸がんの治療数

子宮頸がん*治療数の推移

2025年 2024年 2023年 2022年 2021年 2020年
45 59 64 61 61 69

子宮頸がん*に対する主治療

2025年 2024年 2023年 2022年 2021年 2020年
手術      
  開腹手術 13 21 21 32 20 35
  腹腔鏡下手術 5 7 4 6 4 1
同時化学放射線療法 19 19 19 13 20 13
放射線単独療法 5 6 13 7 14 14
化学療法 2 5 7 3 3 6
円錐切除(妊孕性温存) 1          

*上皮内癌を除く

子宮頸部上皮内癌・高度異形成に対する治療

  2025年 2024年 2023年 2022年 2021年 2020年
円錐切除術 27 20 23 39 38 27
レーザー蒸散手術 2 3 3 1 0 0
腹腔鏡手術 9 16 14 10 5 10
ロボット支援下手術 4 9 7 4 10 1
開腹手術 0 1 0 3 0 1

子宮体がんの治療数

子宮体がん*治療数の推移

2025年 2024年 2023年 2022年 2021年 2020年
94 91 89 91 80 79

子宮体がん*に対する主治療

2025年 2024年 2023年 2022年 2021年 2020年
手術      
  開腹手術 32 37 30 37 46 56
  腹腔鏡下手術 12 18 23 20 11 15
  ロボット支援下手術 47 36 35 33 23 5
放射線単独療法 0 0 1 0 0 0
抗がん剤療法 2 0 0 1 0 3
ホルモン療法
(妊孕性温存)
1          

*子宮内膜異型増殖症を除く

子宮がん*手術術式

卵巣がんの治療数

卵巣がん*治療数の推移

2025年 2024年 2023年 2022年 2021年 2020年
47 49 55 63 58 42

*卵管癌・腹膜癌を含む

卵巣境界悪性腫瘍 治療数の推移

2025年 2024年 2023年 2022年 2021年 2020年
20 20 18 18 11 18