研究の特色/内容

FEATURE

取り組んでいる研究

関節リウマチ

関節リウマチ治療は分子標的療法の登場によりパラダイムシフトが訪れました。しかしながらどの薬剤がどの関節リウマチ患者様に適しているもしくは副作用を起こすかということに関しては不明な部分が多いのも事実です。北里大学医学部リウマチ膠原病・感染内科学では分子標的療法が与える免疫細胞への影響を末梢血白血球の遺伝子発現を見ることにより新たな治療ターゲットおよび効果・副作用に関するマーカーを探索的に発見する臨床研究を行っています。
また基礎研究としてこれまでの上記の方法にて得られた新たな分子をターゲットとしてノックアウトマウスを作成し関節炎発症に与える因子であるかどうかの検討を行っています。


全身性エリテマトーデス

北里大学病院リウマチ膠原病・感染内科の大きな特徴として未治療の全身性エリテマトーデス患者様を見る機会がとても多いということがその特徴です。
臨床研究として関節リウマチと同様、末梢血を用いた遺伝子発現検体を蓄積することにより初発・再発に関わる因子、治療効果に関する因子の探索をするためのライブラリー作成に取り組んでいます。
基礎研究としてはNPSLEの精神症状の発症に関する自己抗体の関与について主なテーマとしています。既にニューロンに直接作用し髄液中での存在がNPSLEにおける精神症状と関連しているNMDAレセプターサブユニットGluN2に対する抗体(抗GluN2抗体)の測定・精製を行うことができます。抗GluN2抗体は細胞に直接働き障害を与えるというSLEにおける自己抗体の病的作用としてはIII型アレルギーや内因性のTLR刺激とは異なるコンセプトに基づく病的自己抗体です。このような直接的に細胞表面に結合し作用する自己抗体を「機能的病的自己抗体」と名付けその細胞表面のエピトープ、シグナル伝達経路、血液脳関門へ与える直接的影響について検討を行っています。

特にNPSLEにおける精神症状の出現のメカニズム以下のように考えています(下図)。
1)血液脳関門の破綻
2)ニューロンの自己抗体による急性障害
3)マイクログリアによるリモデリング(ニューロンの変性)


また抗GluN2抗体に暴露された障害を受けたニューロンは活性化マイクログリアによるリモデリングを受けそれにより精神症状が発症・遷延すると考えています。NPSLEによる精神症状の発症時点ではすでに急性炎症後、マイクログリアの活性化状態が続いていることが重要であることから、これに関する作用機序に基づくサロゲートマーカーの探索を行っています。