病理診断業務

組織診断

患者さんの身体より採取された病変の組織からガラス標本(プレパラート)を作り、病理医が顕微鏡をみて診断します。病名は何か、手術で病変はどの程度広がっているか、取りきれたか、他の場所に転移はあるのかどうか...など
今後の治療を決めていくうえで大切な情報を、実際に患者さんの治療にあたっている臨床医に提供していきます。

  • 手術などにより取り出された臓器は、ホルマリンで固定(変性・腐敗しない様にする)し、適切な場所を切り出します
  • 切り出した後、パラフィン(ロウ)で固めます
  • 固められた臓器、約3μmの薄さにスライスします
  • スライス後、ガラスに張り付け、染色後に標本となります。これを病理医が診断します

細胞診断(細胞診)

痰・尿・胸腹水や子宮頚部から削りとった細胞などをガラス標本(プレパラート)にして、顕微鏡で観察します。
まず細胞検査士ががん細胞など異常な細胞がないかをチェックします(スクリーニングといいます)。その後細胞診専門医が再度確認し、最終診断をします。

  • 固定・染色し、標本を作製します
  • 子宮頚部 扁平上皮

術中迅速診断

手術中に行う組織診断・細胞診断です。手術中に病変の一部や(腹水などの)液体が提出されると、ガラス標本(プレパラート)を作って診断します。提出されてからだいたい15~20分程度で、診断結果を執刀医(手術している医師)に報告しています。
病変が悪性かどうかを判断したり、広がりを確認したりすることで、現在進行形で行われている手術の方針決定などをサポートしていきます。
当院では、近隣の病院で行われている手術検体の診断も行っています。

  • 病変を液体窒素で固め、スライスし、染色していきます
  • 複数の病理医で検討し、報告します

分子病理診断 (コンパニオン診断)

現在がんの薬物療法(薬を点滴したり, 飲んだりする治療)では、【分子標的療法】【免疫療法 (2018年のノーベル賞です!!)】もさかんに行われています。しかし薬が効くかどうかも分からずにやみくもにその薬を使うのは、患者さんにとってとても危険なことです。
分子病理診断は、様々な方法でがんの遺伝子異常等を調べることで、【分子標的療法】【免疫療法】が実際に効きやすいか(治療適応があるか)どうかを判断していきます。
当院では、乳がん・肺がん・大腸がんなど、がんに対しての様々な検査とその評価を行っています。
がん遺伝子パネル検査(CGP検査)において、CGP検査を行うために適切な標本であるかどうかを評価・判断しているのは病理医で、病理部門が標本の提供を行っています。

  • 胃癌HER2-FISH
  • 肺癌PD-L1免疫組織化学

病理解剖 (剖検)

治療の過程において、残念ながら亡くなられた患者さんに対して行う解剖です。現在では医療技術が進歩し、死因(亡くなる原因)が生前や亡くなった後の検査などである程度判断できる様になりました。そのため全国的に病理解剖の数は減少傾向にあります。
しかし、死因が分かりきれないことも十分にあります。その場合はご遺族の了承のもと、解剖させて頂きます。生前分かり得なかった患者さんの死因を究明していくだけでなく、解剖結果から学べることを今後の医療へ還元していきます。
当院では、近隣の関連病院で亡くなられた患者さんの病理解剖も行っています。

  • 病理解剖室
  • 心筋梗塞で亡くなった方の心臓組織の一例

セカンドオピニオン

当院に紹介になった患者さんにおいて、持参頂いた病理標本は、当院でも再度診断しています。診断結果は、各々かかっている科の医師を通して報告します。

  • 当院に紹介になった患者さんの 前立腺針生検組織の一例