特徴・特色

診療実績と診療上の特徴・特色

昭和46年9月の当院初開心手術以来、現在までに行われた主要な心臓大血管手術(開心手術相当)は5000例におよび、最近5年間の心臓大血管手術(体外循環手術相当)は03年333(166)例、04年309(162)例、05年289(136)例、06年368(138)例、07年370(168)例と年間300例を超えている。

07年度には370例の心臓手術があり、内訳は小児先天性が99(死亡1)例、冠動脈43(死亡2)例、弁膜症36(死亡1)例、胸部大動脈36(死亡3)例うちステントグラフト内挿術19(死亡0)例、成人先天性その他の開心術6(死亡0)例、ペースメーカー手術83例、植え込み型除細動器48例、心再同期療法(CRT/CRTD)7例であった。難易度の高い手術が多かったが、全体の手術死亡率は1.9%と良好であった。

先天性心疾患の手術

生直後の新生児や未熟児の重症複雑心奇形に対しても積極的に人工心肺下の根治手術を行い、好成績をあげている。当院では、1歳未満の手術症例が2/3を占め、体重1.1kgの大動脈中隔欠損症の開心根治手術にも成功している。また多くの症例に低侵襲心臓手術(小切開手術)や無輸血体外循環手術を行い、在院日数の短縮を得ている。また胸腔鏡およびロボット使用下の動脈管閉鎖術は本邦最多症例(100例)を誇り、体重560g児においても成功を収めている。

冠動脈外科手術

冠動脈バイパス手術(CABG)では、積極的に動脈グラフトを使用しており、グラフト開存率は98%と良好である。人工心肺を用いない方法(OP-CAB)は絶対的適応症例(頭頚部動脈病変・大動脈石灰化・坦癌患者や肺機能障害を有する重症例など)を中心に行っており、07年度のOP-CABは単独冠動脈バイパス手術の45%であった。急性心筋梗塞の危険な合併症である心室中隔穿孔、左室自由壁破裂、左心室瘤や虚血性心筋症に対しても術式工夫を行い、好成績を得ている。

弁膜症の外科治療

ハイリスク症例に対しても安定した成績が得られる人工弁置換手術を基本としているが、僧帽弁閉鎖不全単独症例においては弁形成手術を優先している。人工弁の選択は、若い方には耐久性の優れる機械弁を主とし、高齢者や妊娠・分娩の可能性のある若い女性には生体弁使用を基本としている。

胸部大動脈瘤の外科手術

人工血管置換手術を基本術式としているが、症例を選んで低侵襲手術として注目されているステントグラフト内挿術を行い、好結果を得ています。現在までの実施数は150例を超えている。

手術適応の決め方

手術適応は、循環器内科、小児循環器科との合同症例検討会にて最終的に決定しているが、術者の経験はもとより米国心臓病協会(AHA)や日本循環器学会のガイドラインも参考にして行っている。なお手術リスクの評価は、当院における実績はもとより、欧米学会のデーターベース(Euro Score, STS Score)や日本胸部外科学会の年次集計結果を参考にして行っている。

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手術実績

手術の疾患群別分類 2003 2004 2005 2006 2007
小児先天性心疾患 85 100 98 99 100
冠動脈疾患 60 36 34 39 42
心臓弁膜症 34 29 30 40 45
大動脈疾患 24 27 33 35 36
ステンドグラフト内挿術 10 11 19 24 19
その他の心疾患 8 8 11 15 16
不整脈・ペースメーカー移植 120 109 83 140 131
うちAICD 7 19 16 24 41
うちCRT/CRTD   4 3 6 7
総 数 331 309 289 368 370

※4月〜翌年3月の年度実績である。

※合併手術は重複記載されている。

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