心臓血管外科学は先天性および後天性心疾患に対する外科的診断と治療を実践・研究する部門である。研究としては,小児先天性心疾患に対する外科治療に関する研究,虚血性心疾患ならびに心筋梗塞合併症の外科治療に関する研究,心臓弁膜症の外科治療に関する研究,大動脈疾患の外科治療ならびに周術期管理に関する研究,慢性心不全の外科治療(補助人工心臓・再生医療・心臓再同期療法など)に関する研究,不整脈の外科治療に関する研究などが挙げられる。臨床的研究が主体であるが,臨床への還元を目的とした実験的研究も行っている。
心臓血管外科の新しい治療方法に関する臨床的ならびに実験的研究を行う。対象疾患の主なものは,乳幼児の複雑心奇形,心臓弁膜症,虚血性心疾患ならびに心筋梗塞合併症,川崎病冠動脈病変,大動脈炎症候群,大動脈瘤,不整脈,慢性心不全などである。
特に心筋梗塞の機械的合併症(左室自由壁破裂・心室中隔穿孔・僧帽弁乳頭筋破裂・虚血性心筋症・左室瘤)の成績は十分満足できるものではないので,術式工夫や低侵襲術式の開発を行い,手術成績の向上を図る研究である。
胸部大動脈の解離・真性瘤・外傷に対する低侵襲術式としてのステントグラフト内挿術の適応と術式・成績を検証する研究である。
心筋虚血の改善を意図して血管新生因子あるいは心筋新生因子を用いて行う再生医療・遺伝子治療の基礎的・臨床的研究を薬理学・循環器内科学との共同研究として行う。
小児心臓外科において最も難手術と云われるNorwood手術の成績向上を目指し,手技の工夫ならびに体外循環法の工夫を行い,成績の向上を目指す。
低体重児で無輸血開心手術を推進するため,体外循環回路の小型化を行い,その有効性と安全性を検証する。さらに特殊コーティングした回路を使用し更なる安全性の向上を検証する。
先天性複雑心奇形に対する各種修復手術における有効性を血流力学的に証明するため、最新の血流解析ソフトで検証し、最良術式の工夫・開発を行う。
出生前に心疾患を診断し,できれば治療を施すための基礎的・臨床的研究である。