一般のみなさまへ

治験のルール

治験を実施する上でのルールについて

「治験」という言葉を聞いて、「人体実験」という印象をもたれる方も多いのではないでしょうか。ヒトで行う試験の実施方法については、過去に多くの問題と反省すべき点がありました。特に人間の権利を無視した実験は決して許されるべきではありません。そのような考えのもと、世界医師会は「ヘルシンキ宣言」というルールを定めました。
「ヘルシンキ宣言」では、医学の進歩のためにヒトを対象とする研究は必要だとした上で、人間個人の利益と福祉は、科学や社会に対し与えるものよりも優先されなければならないという考えを原則としています。
現在、ヒトを対象とした試験は全てこの「ヘルシンキ宣言」に基づいて行われています。更に、治験は、国の定めた法律(医薬品医療機器等法)とそれに基づいて厚生労働省が定めた「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)」という大変厳しい法律に従って行われます。GCPには、治験を正しく実施するために、治験に参加していただく方の人間としての権利に関する事項や、治験を実施する病院、医師、製薬企業などの関係者が守るべき基準が定められています。

正しい治験を行うために

治験の計画は、「治験薬」の特徴を見極めながら、医学の専門家、薬学の専門家、薬理学の専門家など多くの専門家により綿密に計画されています。この治験の計画は、厚生労働省に届け出され、治験の計画に問題が無いかどうか調査が行われます。この調査の終了後、病院で治験を実施します。

IRBについて

病院には、治験の倫理性、安全性および科学性について問題がないかどうかを専門的に審査する「治験審査委員会(Institutional Review Board:IRB)」という委員会があります。
この治験審査委員会の委員には、医学、薬学などの専門家の他に、より公正な審査を行うために病院と利害関係を持たない方や、医療の専門家でない方などが含まれています。当院の場合は弁護士や一般の主婦の方などが参加しています。
病院で治験を行う時は、必ずIRBによる審査を受け、承認を得なければ実施できません。またIRBは、治験開始時の審査を行うのみでなく、病院内で正しく治験が行われているかどうかなど、治験が終了するまで随時審査を行っています。このように治験は、厚生労働省、IRBなどのたくさんの専門家により慎重に検討された上で実施されているのです。

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