相模原市寄附講座
「地域総合医療学」について DONATION-COURSE

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相模原市寄附講座(地域総合医療学)

背景と目的

相模原市は、2007年3月に旧津久井郡4町(城山町・津久井町・相模湖町・藤野町)と合併した結果、交通網が発達した商業施設なども多い「東部地域」と、自然豊かな「西部地域」が共存する市となり、2010年4月に政令指定都市となった。2016年10月の神奈川県地域医療構想では、相模原市を二次医療圏として設定しているが、「区域内での地域差」を考慮した医療提供体制を2025年までに構築することが重要な課題であり急務と指摘されている。旧津久井郡4町のうち城山町を除いた津久井町・相模湖町・藤野町(今後、「旧3町」と略)は、元来、医療機関が少なく、3つの県立診療所(現、相模原市立診療所)と3つの国民健康保険診療所(現、相模原市立国民健康保険診療所)、津久井赤十字病院(現、相模原赤十字病院)が地域医療の中心を担ってきた。

相模原市は、「旧3町地域の人口は減少していくものの高齢化は進展し、今後、高齢者を中心とした患者数は、当面減少しない」という推計をしており、今後の旧3町地域医療体制の構築が課題であるとして、2014年2月から相模原市の将来の地域診療を担う総合診療医を育成するために、相模原市寄附講座「地域総合医療学」を本学医学部に設立し、今後の高齢社会の進行などを見据えて総合診療医を育成するとともに、地域の特性に応じた在宅医療を推進するための調査研究及び体制の整備を図り、それらの成果を市民に還元することによって地域医療の向上に寄与することとしている。

相模原市寄附講座修学資金学生および医師について

I. 修学資金学生

  1. 将来、相模原市の地域診療を担うことの重要性、必要性を自覚してもらい、主に以下②、③や修学資金医師や学生ミーティングや研究会、勉強会を定期的に開催して、相模原市の地域診療を担う医師に必要なマインド形成を行う。また、修学資金医師から教育、指導、助言を受ける。
  2. サマースクールを開催し、相模原市の地域診療の現状と問題点や課題を調査・検討して発表し、参加者(相模原市医療政策課を含む)と討論する。また、報告書の作成を実施する。 また、神奈川県、茨城県、山梨県の地域枠学生と、意見交換ができるような体制を構築する。
  3. 日本プライマリ・ケア連合学会、日本内科学会、およびその他の地域診療や総合診療にかかわる学会、研究会、研修会に発表または参加して、地域診療や在宅診療に必要な医学知識、医療技術、研究および「患者・家族を診る」、「地域を診る」総合医としてのマインドを身に付ける。
  4. 地域診療を実施している施設における地域診療カンファレンス、退院支援および退院調節カンファレンス、および相模原市が実施している多種職連携に関する研修会や講習会に参加する。
  5. チーム医療や医療安全に関する研修会、講習会に参加する。
  6. 相模原市医療政策課の担当者と伴に、年に数回、面談を実施して修学資金学生の支援をしていく。

II. 修学資金医師

  1. 修学資金医師は、初期研修を北里大学病院の初期臨床研修プログラムに則して研修する。初期研修2年目に、大学病院総合診療部および相模原赤十字病院にて研修を実施する。
  2. 後期臨床研修プログラムについては、1)日本専門医機構認定「北里大学さがみはら総合診療医育成プログラム」(3年間)、2)日本内科学会認定「北里大学病院内科専門医研修プログラム」(3年または4年間)、のいずれかの専攻医となり、専攻したプログラムに準じて専門医を取得する。
    各プログラムについては、「卒後研修の特徴」の項目を参照のこと。


    図1. 日本専門医機構認定「北里大学さがみはら総合診療医育成プログラム」のスケジュール例


    図2. 日本内科学会認定「北里大学病院内科専門医研修プログラム」(3年または4年間)のスケジュール例

  3. 日本プライマリ・ケア連合学会、日本内科学会、およびその他の地域診療や総合診療にかかわる学会、研究会、研修会に発表または参加して、地域診療や在宅診療に必要な医学知識、医療技術、研究および「患者・家族を診る」、「地域を診る」総合医としてのマインドを身に付ける。また、学会への参加および発表は専攻プログラムの修了要件である。
  4. 地域診療を実施している施設における地域診療カンファレンス、退院支援および退院調節カンファレンス、および相模原市が実施している多種職連携に関する研修会や講習会に参加する。
  5. 日本内科学会JMECC、チーム医療、医療安全に関する研修会、講習会に参加する。
  6. ポートフォリオ教育を実践して行くことにより、自らの学習の深化やコミュニケーション能力を高めて行く。

    ※ポートフォリオは「診療録のサマリー」とは異なり、研修の最初から記録を開始して、情報の管理をはじめ、研修プログラムにおける学習目標を意識しながら、学習プロセスを記録したりまとめたりしていくもので、つねに指導医や同僚とデイスカッションしながら、自分の振り返り(省察)だけでは見えてこなかった視点や学習戦略を言語化し、学びを進化させて行くものである。評価のツールというより、学習支援ツールであり、指導医や同僚と協同学習をするコミュニケーションツールでもある。

  7. 寄附講座における後輩医師および学生へ、積極的に、教育、指導や助言を行う。
  8. 相模原市医療政策課の担当者と伴に、年に数回、面談を実施して、プログラムの進捗状況やプログラム改善点などを参考にして、修学資金医師の支援をしていく。

III. 専門医取得後

  1. 日本専門医機構認定「北里大学さがみはら総合診療医育成プログラム」を選択した修学資金医師

    (1)大学病院総合診療部または総合診療内科に入局し、内科総合外来診療や病棟診療、研究活動、教育活動、などを実施し、総合診療専門医のサブスペシャリティである新家庭医療専門医、病院総合診療医、さらに総合内科専門医のダブルボードについて研修も可能である。

    (2) 総合診療内科に入局し、日本内科学会認定「北里大学病院内科専門医研修プログラム」の専攻医になり、総合内科専門医を取得することも可能である。

    (3)上記、いずれかの期間中に、相模原市が指定した医療機関に勤務することがある。

    (4)希望する内科サブスペシャリティへの移籍は妨げない。義務年限が終了している場合には、自らが将来希望する科への移籍を妨げない。

  2. 日本内科学会認定「北里大学病院内科専門医研修プログラム」を選択した修学資金医師

    (1) 大学病院総合診療部または総合診療内科に入局し、内科総合外来診療や病棟診療、研究活動、教育活動、などを実施し、家庭医療専門医、病院総合診療医を取得する。あるいは、総合診療専門医のダブルボードのための研修も実施可能である。但し、当該期間中に、相模原市が指定した医療機関に勤務することがある。
    また、希望する内科サブスペシャリティ当該科への移籍は妨げない。義務年限が終了している場合には、自らが将来希望する科への移籍を妨げない。

    (2) 総合診療内科以外の内科を選択した場合は、内科サブスペシャリティ当該科に入局となる。但し、義務年限期間中は、相模原市寄附講座の規定に従った勤務になる。