組織移植

同種骨・靱帯組織移植

 骨・靱帯は全身の形を整えているばかりでなく、関節の運動や体重を支える運動器官の一部として重要な組織です。そのため、骨組織は自ら修復していく能力を持っています。
 しかし、広い範囲で骨を失ってしまうと日常生活を送るために欠かせない 運動機能を回復することができません。このような方々に、ご提供された骨や靱帯を移植することで日常生活を営む基本的な機能を回復することができます。

同種骨・靱帯組織移植の必要性

 同種骨・靱帯組織移植を必要としている患者さんは、骨腫瘍、先天性疾患あるいは外傷による骨・関節の欠損、脊椎や関節の変形、リウマチ性疾患など、北里大学病院だけでも年間50名を超えています。
 大きな欠損部の再建には、同種骨・靱帯組織の移植が最も有用な治療手段です。

骨・靱帯の修復方法

●自家組織の移植
 自家組織は、最も優れた効果を発揮する移植用材料ですが、移植用の組織を自分自身の体(病巣から離れた正常部位)から採取しなければならないため、採取部位の感染、骨折、また採取される組織によっては特有の機能障害を来す危険性があります。また採取できる量も限られます。

●人工材料による補填
 人工材料は、置換した部分とよく癒合しますが、生体組織と置き換わることがないため移植した部位に半永久的に残ることになります。生体組織とは違った物質がいつまでも存在することになり、正常組織との間で生物学的な反応を起こしたり破損したりすることがあります。

●同種骨・靱帯組織の移植
 同種骨・靱帯移植による欠損部の修復は、標準的な治療法として世界中で広く行われており、我が国でも保険診療として実施されていますが、まだ一般的ではありません。
 同種組織の回復機能は、自家組織には幾分劣るものの、免疫抗原性が極めて低いため拒絶されることがほとんどなく、次第に吸収・置換され患者さん自身の組織になじんでいきます。そして、時間の経過とともに元の状態に近い状態に回復していくことが期待されます。同種骨・靱帯組織は冷凍保存することによって、およそ5年間の保存および臨床使用が可能です。

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