ME部の概要

ご挨拶

 北里大学病院ME部は1981年4月に開設されました。当時、臨床工学技士という資格はなく、スタッフは手術室や集中治療室などで医療機器を扱う医務職で構成されました。既に先駆的な取り組みをされていた三井記念病院MEサービス部を参考に、現在は一般的となっている医療機器の中央管理という、各診療科で使用されていた医療機器を集約し保守点検を行って効率よく管理するという先駆的な取り組みが導入され、臨床工学技士法施行以前の開設当初から、全国の臨床工学技士部門の現在の形態を実施していました。
 北里大学病院はMedical Engineering(医用工学)の頭文字を取って「ME部」を部門名としています。多くの施設では、臨床工学技士法施行後、その国家資格の名称を部門名として、「臨床工学部」や「CE部」の名称へ変更しています。しかし、北里大学病院ME部は、我々の国家資格であるClinical Engineering(臨床工学)のみならず、医療機器の基礎研究や新製品の開発にも積極的に取り組んでいこうという目標から、現在もME部という部門名を継承しています。
 さて、北里大学病院ME部は開設当初からジョブローテーションを行っています。これは、日進月歩する最新の幅広い知識を習得し実践できるよう、スタッフのスキルを維持するために行っています。多くの施設では、血液浄化や手術、カテーテルなどの業務にスタッフを固定して教育を行うのが一般的ですが、ジョブローテーションでは若手教育に時間も手間もかかります。しかし、一人の患者には一人の臨床工学技士が対応できるように、また、今年入職した新人技士が定年を迎える40年後まで、医療がどんなに進歩しても臨床の第一線で活躍し続けられるように、この手間のかかるシステムを継承しています。
 最後に、我々北里大学病院ME部は、これからも大学の付属機関として、医療機器を中心とした研究開発、将来の医療を担う人材の育成、そして何より、優れた技術と高い安全性を期待して、北里大学病院に来院していただいている患者さまのために、これからも努力し進歩し続けていく所存であります。

ME部 技師長

 

業務体系と主な内容

 ME部の業務は大きく分けて「機器管理部門」、「集中治療部門」、「IVR・デバイス部門」、「手術室部門」、「人工心肺部門」、「血液浄化センター部門」6部門からなり、各部門が連携をとりながら患者さまに安全な医療が提供できるよう日々取り組んでおります。
○機器管理部門
 大学病院で使用される医療機器を一括管理(稼働状況、点検・修理履歴の把握、効率的運用)しながら日常点検および年間計画に基づき定期点検を実施しています。また、人工呼吸器の導入時介助やラウンド点検、ME機器の取り扱い説明会を開催しています。
○集中治療部門
 高度救命センターをはじめとして7ヶ所に展開されるICU(E/G/P/N/MF等)の集中治療系部門における医療機器の保守管理および人工呼吸器、生体情報モニタやIABPやPCPS、CHDFなどの導入・設定などを通じて急性期医療における集学的治療に関わっています。
○IVR・デバイス部門
 心臓・脳血管をはじめとした各臓器におけるカテーテル検査、電気生理学的検査、治療時の測定、記録、治療機器の設定などを行っています。また、ペースメーカをはじめとしたデバイスを使用されている患者さまの外来時の設定変更や取扱い説明を行っています。
○手術室部門
 手術関連機器の保守管理、手術前の準備・内視鏡や眼科用手術機器、ダヴィンチなどの操作介助などを行っています。また、術中トラブルに迅速に対応し、手術の延長を防ぐことで患者さまの負担が少なくかつ円滑に手術が終了するための取り組みを行っています。
○人工心肺部門
 成人・小児開心術における手術の準備、体外循環操作・術中管理およびVAD、PM、ICDなどのデバイス植え込みや交換時の導入・設定介助を行っています。
○血液浄化センター部門
 主に慢性腎不全患者における透析導入や急性腎不全の急性期疾患に対しての血液透析(HD)、血液濾過透析(HDF)や腎疾患以外の免疫疾患、消化器系疾患、中毒、感染症、臟器移植などに対して血漿交換や各種吸着、腹水濃縮などを行っています。

歴代部長

大学病院

渡邊 敏 先生  1981.4〜1998.6
相馬 一亥 先生 1998.7〜1998.11
小原 邦義 先生 1998.12〜2010.3
海野 信也 先生 2010.4〜2010.10
宮地 鑑 先生  2010.11~

東病院

渡邊 敏 先生  1986.4〜1998.6
小林 伸行 先生 1998.7〜1999.3
大谷 剛正 先生 1999.4〜2003.3
菊地 史郎 先生 2003.4〜2009.3
奥富 俊之 先生 2009.4〜2010.6
田邉 聡 先生  2010.7〜9
片田 夏也 先生 2010.10〜2011.6
宮地 鑑 先生  2011.7〜


管理職
大学病院
西川 温 氏 1981.4〜2006.3
東病院
瓜生 伸一 氏 1986.4〜2011.6

歴史

2021年 新型コロナウイルス感染症 パンデミック
2020年 古平副技師長が北里大学医療衛生学部医療工学科臨床工学専攻医療安全工学研究室 教授に就任
      東病院移転 大学病院西館オープン 機器庫の拡大
2019年11月3日 初代部長 渡邊 敏 先生が瑞宝中綬章を受章
2019年 小児用VAD導入
2018年 Impella実施施設
2017年 認定小児用補助人工心臓実施施設 当直から夜勤体制へ移行
2015年 東病院リニューアルオープン 新東病院MEセンター開設
       当直3名体制移行 周産母子成育医療センター24時間常駐開始
2014年 新病棟(現本館)開院 新大学病院MEセンター開設
       植込型補助人工心臓実施施設認定
2013年 ME部へ名称変更 ダ・ヴィンチ導入
2012年 30周年記念パーティー(椿山荘)
2011年 東病院MEセンター部との統合 技師長の任用
2010年 当直2名体制導入
2009年 デバイス関連業務開始
2008年 部内感染対策チーム立ち上げ 小児在宅人工呼吸管理開始
2007年 血液浄化センター臨床工学技士との統合 医療機器安全管理責任者設置
2005年 24時間当直体制から変則2交代制へ移行
2003年 北里研究所メディカルセンター病院へ臨床工学技士移籍
2002年 MEセンター部管理機器中長期計画の開始
1998年 新棟(現1号館)開設 MEセンター部拡張(技士室、機器整備室、機器庫)
1995年 中央手術室臨床工学技士との統合 手術用機器の管理開始
1994年 北里大学医療衛生学部 臨床工学専攻 開設 臨床工学技士1名出向
1991年 10周年記念誌発行
1987年 臨床工学技士法 施行
1986年 救命救急センター開設 高気圧酸素治療室開設 北里東病院開院
1983年 コンピュータネットワークによる医療機器管理開始
1981年 医療機器センター(現ME部)開設
1971年7月 北里大学病院開院

人員表

部長(医師)    1名
技師長       1名
技師長補佐     3名(女性1)
係長        3名
主任(管理職補佐) 3名(女性2)
主任       10名(女性5)
専任        7名
ローテーター   15名
補佐        3名
医療衛生学部(出向)1名

臨床工学技士  49名
(男性 30名 女性 19名)

出身校別

北里大学 17
日本工学院専門学校 5
東海大学 4
川崎医療短大 3
東京電子専門学校 3
北里大学大学院 2
北里大学保健衛生専門学院 2
北海道科学大学 2
埼玉医科大学 1
帝京平成大学 1
東北文化学園専門学校 1
杏林大学 1
桐蔭横浜大学 1
九州保健福祉大学大学院 1
熊本総合医療リハビリテーション学院 1
トリニティカレッジ広島医療福祉専門学校 1
千葉科学大学 1
博多メディカル専門学校 1

学会認定

体外循環技術認定士 13名
 日本人工臓器学会
 日本胸部外科学会
 日本心臓血管外科学会
 日本体外循環技術医学会

透析技術認定士 5名
 日本腎臓学会
 日本泌尿器科学会
 日本人工臓器学会
 日本移植学会
 日本透析医学会

3学会合同呼吸療法認定士 16名
 日本胸部外科学会
 日本呼吸器学会
 日本麻酔科学会

人工心臓管理技術認定士 8名
 日本人工臓器学会
 日本胸部外科学会
 日本心臓血管外科学会
 日本体外循環技術医学会
 日本臨床補助人工心臓研究会

臨床ME専門認定士 13名
 日本生体医工学会
 日本医療機器学会

ジョブローテーション

 北里大学病院ME部に入職した臨床工学技士は全員ジョブローテーションを行います。ジョブローテーションは1か月単位で、6部門を回ります。ジョブローテーションで広い分野の業務を習得後、3年から5年で固定業務に移行し指導者となります。このように、若いうちは広い分野の業務を習得することにより、将来医療業界が大きく変化しても、また指導者・マネージャーと自身の立場が上がっても困ることのないように、若いうちにたくさんの経験を積んでほしいと願っています。

プリセプター制度

 北里大学病院ME部では、新人教育の一つとして看護師等が行っているプリセプター・プリセプティー制を導入しております。3年目から5年目のサブリーダーで構成されたプリセプターが、入職した新人(プリセプティー)をマンツーマンで指導する制度です。業務に関することから、会社として必要な手続きや書類の書き方、上司や先輩との接し方に至るまで、幅広く指導しています。特に、臨床工学技士として必要なスキルのみならず、社会人として必要なスキル向上を目指しています。
 プリセプターは、プリセプティーと週1回の面接を行い、その内容を上司に報告します。上司は、各部門リーダーと情報を共有し、勉強会を開催したり、業務を行う上で特別に必要な配慮などを行いながら若手教育を進めています。
 プリセプター制度は新人にはきめの細かい指導ができますが、反面プリセプターには過重労働なってしまいます。しかし、プリセプターも新人を指導することによって、コーチングスキルの向上を目指しています。

業務量

 

業績集

学会発表

 

論文

 

書籍