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カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)・ピッツバーグ大学 視察研修報告

「アメリカの先駆的病院(マグネットホスピタル)でキャリア管理・教育システムを見学し、今後の事業の組織化と運営に示唆を得る」ことを目的とし、平成24年2月13日〜18日UCLA、平成24年2月20・21日ピッツバーグ大学を視察してきました。北里大学病院看護部から2名、北里大学看護学部から4名の計6名が参加しました。

1. 離職に対応したUCLA基礎教育の改善

UCLAでは、数年前までは日本と同様に看護師の離職率が高かい状況であった。それに対し、以下のような基礎教育の改善が行われていました。

  • 卒業後に10週間のレジデント期間があり、臨床の看護師がメンターとしてサポートする
  • シミュレーション教育が25%を占める
  • 看護学生へのリーダーシップ教育の実施
  • 臨床教員制度の導入

このような取組の結果、新人看護師の離職が減っているという成果が得られているそうです。当院も含め、日本では卒後に一人前看護師として教育していく現状となっています。今後の臨床看護師と看護学部教員との協働や、専門職業人としての教育の早期構築の必要性を強く感じました。

2. 看護部におけるデータ管理

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)・ピッツバーグ大学 視察研修報告

マグネットホスピタルの認定を受けているRonald Reagan UCLA Medical Centerには、更新に必要なデータ管理等を行っている部門が、看護部の中に設置されていました。看護部の理念・UCLAナーシングモデルなどが定義され、それらを基盤とした申請を行うための様々なデータを管理しています。そこには、新人看護師の技術チェックリストのようなものや、職位(クリニカルラダー)に応じた「JOB DESCRIPTION/PERFORMANCE EVALUATION」があり、自己評価を年一回するそうです。看護師自らが自分のキャリアをデザインし、獲得するためのキャリアパス構築に向けて、非常に参考になりました。

3. ピッツバーグ大学WISERのシミュレーション研修

ピッツバーグ大学では、シミュレーション研修を実施する施設WISERを見学しました。 WISERは、ピッツバーグ大学、大学病院、関連施設全般のシミュレーション研修を実践するセンターとして機能しています。インストラクターである臨床家や教師の目的に合わせて、専門職が、コース参加者の管理から実際のコースコンテンツの作成・実施までをサポートしていました。

4. 臨床とのギャップを生まない教育

US Newsにおいて、全米7位の評価を受けているピッツバーグ大学看護学部では、卒業時に一人前看護師として仕事ができることを目標においた教育体制がとられています。WISERと協力したシミュレーション教育を中心に臨床とのギャップを生まない教育がなされており、各担当教員がインストラクターとしてシミュレーション教育を実施していました。また、演習時に上位学生が下位学生を教えるというシステムをとっており、上位学生の知識・スキルの向上にもつながっているそうです。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)・ピッツバーグ大学 視察研修報告

両大学の視察を通し、臨床看護師が学部教育に参画し、教員が臨床力を高めるための人事交流を検討、実践していく必要があることを改めて感じました。

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