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「看護職員のキャリアアップを目指す教育セミナー」実施報告

ポスター(クリックで拡大します)

2012年10月20日(土)、小田急ホテルセンチュリー相模大野において、「看護職員のキャリアアップを目指す教育セミナー」を行いました。北里大学病院・北里大学東病院・北里大学看護学部の看護教職員101名と、外部の施設からは、71名の方にご参加いただきました。

昨年度、ピッツバーグ大学看護学部を視察した際に、看護学生が高い実践力を持ち、臨床実習に臨んでいる姿を目にしました。その結果を生み出しているひとつの要因が、効果的なシミュレーション教育の実施であることを実感しました。このシミュレーション教育は、主に隣接のセンター(WISER)で実施されていますが、病院の看護部門や看護学部とも密接につながっています。高機能シミュレーターの整備をはじめ、運営面を支えているプログラマーや機器管理者の存在もあり、効果的にシミュレーション教育を実施するには、物だけではなく、有能な人材も必要であることがわかりました。
そこで今回、ピッツバーグ大学からRichard Henker博士、ピッツバーグ大学WISERにおいて特別研究員として活動されている岩下寛子先生を迎え、キャリアアップを目指したシミュレーション教育について学ぶ機会として、セミナーを開催しました。

はじめに、海野信也病院長の開会挨拶、別府看護部長から「北里大学病院 看護コラボレーションセンター事業報告」を行い、つづいて北里大学看護学部 黒田学部長より「病院看護部と看護学部の協働関係に基づく基礎教育から卒後へと繋がるキャリアパスの構築を目指して」と題して、今回のセミナー開催に至った経緯などの説明を行いました。

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基調講演I
「看護基礎教育におけるシミュレーション教育−臨床力のある看護学生の育成−」

講 師:
Richard Henker, PhD, RN, CRNA, FAAN
  University of Pittsburg School of Nursing
座 長:
髙橋 眞理 北里大学看護学部 生涯発達看護学 教授

リチャード先生からは、米国の看護の動向、日本の看護基礎教育と米国の基礎教育との違い、またピッツバーグ大学でのティーチングフェローの存在意義など、臨床力のある看護学生の育成への取り組みを紹介していただきました。
これらを踏まえ、シミュレーション教育が臨床力のある看護学生を養成するためにいかに役立つかを、実践の事例をもとに、わかりやすく講演していただきました。
シミュレーション教育は、手技中心のものになりがちであるが、コミュニケーションスキルを高めるためにも有用な教育であると言及されました。また、何を学ばせるかという目的を明確にしなければ、シミュレーション教育は成功しないと強く述べられていました。
リチャード先生が実際に大学で実践しているコミュニケーションスキルを育てるためのシミュレーションプログラムも紹介していただき、成功のためのシナリオ開発のポイントや効果的なディブリーフィング、教育評価について、丁寧に話していただきました。

看護職員のキャリアアップを目指す教育セミナー

基調講演II
「シミュレーションの活用法:
チーム医療における効果的なコミュニケーションを目指して」

講 師:
岩下 寛子先生 獨協医科大学 越谷病院 救急医療科
座 長:
別府 千恵 北里大学病院 副院長・看護部長

岩下先生からは、具体的なコミュニケーションスキルを学ぶための手段としてのシミュレーション教育の方法をわかりやすくご講演いただきました。
医療過誤の原因として、コミュニケーションの問題が大きな割合を占めていることが報告されており、そのコミュニケーションの妨げとなる要因の解決法としてシミュレーション教育が有効であるということをご紹介いただきました。
実際行われているシミュレーション演習を示され、医療現場においてコミュニケーションスキルがいかに重要か、そのコミュニケーションスキルを成長させるために、シミュレーション教育が有効であることをお話いただきました。

看護職員のキャリアアップを目指す教育セミナー

質疑応答・まとめ

最後の質疑応答では、シミュレーション教育のプログラム作りに対する不安や悩みなど、参加者から積極的な発言が多くありました。
そのような質問に対して、リチャード先生、岩下先生ともに熱心に耳を傾け、真摯なアドバイスをしてくださいました。

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アンケート結果から

参加者からのアンケートでは、約80%の方が「満足である」と回答されていました。
シミュレーション教育の目的、教育効果の上がるシミュレーション演習の方法、ディブリーフィングなど、リチャード先生と岩下先生の講演から様々な学びを得ていただき、企画側も満足したものになりました。

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