平成22年度文部科学省「看護師の人材養成システムの確立」
「3〜5年目の看護師のコンフリクトに関する研究」に関連した研修として、「フィジカルアセスメント・アドバンスコース」研修を企画しました。今回の研修は、3〜5年目の看護職員に対するアンケート調査の結果をもとに、コンフリクトを起こしやすい状況として意見の上がった「急性期の患者に対するフィジカルアセスメント」をテーマに、研修プログラムが作成されました。この研修プログラムは、集中ケア認定看護師が中心となり企画し、講師も務めました。
研修は、フィジカルアセスメント研修を修了した、3〜5年目の看護師が対象となり、2日間の日程で行われます。「フィジカルアセスメントの理解を深め、臨床において活用できる」ことを目的とし、4つの領域(循環・呼吸・消化器・脳神経)別に、学んでいきます。
今回は1回目(呼吸・消化器)の様子について報告します。
はじめに呼吸に関するフィジカルアセスメントについての講義を受け、「レールダル SimMan」を使用したシミュレーション演習を実施しました。集中ケア認定看護師が作成した、急性期の症例シミュレーションを、三人一組のチーム(リーダー役、メンバー役、記録係)で体験していきます。
参加者の動きに合せて講師がシミュレータを操作し、アセスンメントに対し細かく状況を作り出していくことができるので、実際の臨床の現場に近い感覚で研修が進められました。参加者は皆、緊張した様子で、すこし戸惑っている部分もありましたが、状況のアセスメント、患者さんへのケア、リーダーへの報告、医師へのコールなど臨床さながらに行動していました。
また、一つのチームが終わるごとに、参加者全員で振り返りを行い、そのシミュレーションに参加していない人も気付いたことを発言し、「患者さんに実際何が起こったのか?」を話し合いました。そのアセスメントで良かったのか?もっと違うことができたのではないか?など活発な意見が交わされ、新しい気付きなどが生まれたようです。
消化器のフィジカルアセスメントの講義の後、2つの事例に対してのフィジカルアセスメントついてのグループワークを行いました。
事例に沿って、①どのようなことが考えられるのか ②与えられた客観的データ(現症・検査結果・腹部X-P所見・腹部CT所見)から、足りない情報はないか?今後必要な情報は何か? ③この患者さんに必要な看護ケアは? という3つのポイントで話し合いました。各自の体験や知識を総動員させ、グループで意見をまとめあげていました。
最後に話し合いの結果を発表しましたが、どのグループも良く考えられた発表で、講師が驚くほどでした。
臨床に即した場面で、中堅の看護師がいかに患者の変化(現象)を捉えて、アセスメントするか?ということに目的置いたので、症例設定をどのようにするかがとても難しかったです。研修は、熱心に取り組む研修生のおかげで、我々もとても楽しく勉強になりました。今後、この研修を活かして共に北里の看護力を向上していきたいと思っています。
次回2回目は平成24年1月11日に、循環と脳神経の領域の研修を予定しています。