北里大学医学部 放射線診断科
Department of Diagnostic Radiology Kitasato University of School of Medicine
当教室では、学内外の診療科・研究室および企業との連携のもとで、医用画像技術の開発や臨床応用に関する様々な研究に取り組んでいます。診療放射線技師の積極的な協力も当教室の研究活動の重要な支えになっています。
MRIでは、撮像シークエンスに応じて多様な情報が得られ、情報の多様性は造影剤の併用でさらに増します。臓器や病変の形態を詳細に解明するのに加え、機能、代謝、組織性状を評価し、本当にその患者さんに適した個別化治療戦略につなげることが可能です。 私たちは造影MRI、拡散強調画像、MRスペクトロスコピーを活用した悪性腫瘍の診断や治療効果判定に取り組んでいます。その他に、非造影MRアンジオグラフィのシークエンス開発と有用性の評価、肝特異性造影剤併用MRIの臨床的意義の検討、ナビゲータエコー法を用いた腹部MRIの臨床評価といった研究が進行中です。
生体内現象を分子レベル、細胞レベルで明らかにする分子イメージングが世界的に注目されており、臨床分子イメージングではPET、SPECTが中心的な役割を果たしています。 北里大学病院には、診断用CTを搭載したSPECT/CTが日本で最初に導入され、これを用いた診療、臨床研究を活発に行っています。 また、放射線腫瘍学教室との協力で放射線治療におけるFDG-PETの役割の確立を目指しており、北里大学の充実した治験管理システムに支えられて新規PET製剤、新規SPECT製剤の臨床試験も推進しています。画像の視覚評価法の開発やSPECTの定量性改善のための画像収集・解析法といった技術的研究にも積極的に取り組んでいます。
分子イメージング技術の小動物実験への応用が進んでおり、基礎医科学の成果を臨床医療につなげるトランスレーショナルリサーチ支援技術として期待されています。 東京大学医科学研究所と連携して、光イメージングおよびMRIを用いた小動物分子イメージング技術開発を推進しています。 光イメージングでは、レポーター遺伝子と呼ばれる発光遺伝子の小動物体内での発現を画像化し、定量評価できます。この手法を用いた腫瘍モニタリング法を中心に研究しています。 MRIでは、リンパ集積性造影剤、血液プール造影剤、超常磁性酸化鉄製剤といった造影剤を用いた詳細なマウス画像解析法を検討しています。
ルシフェラーゼ遺伝子発現大腸癌細胞を移植した マウスの発光/MRI融合画像。
マウスにリンパ集積性造影剤を右足(上)、尾(中)に 接種した後のMRIおよびそれらの融合画像。
循環器診療では従来からSPECTが活用されていましたが、これに加えてCT, MRIの役割が急速に増大しています。 循環器内科と協力して、画像診断技術を用いた循環器疾患の診断法の開発や病態解析に取り組んでいます。 心臓MRIを用いた心機能解析法の研究やMRIを用いた心不全の病態解析が進行中です。
インターベンショナル・ラジオロジー(IVR)では、血管造影やCTなどの画像手法を駆使して治療を行います。低侵襲で選択的・効果的な治療を可能にし、患者にやさしい医療を実現する手法として注目されています。 私たちは、新しいIVR手法に積極的に取り組むとともに、エビデンスを集積して情報を発信し、IVRのさらなる発展と普及を目指しています。
当科では、以下の臨床研究を行っています。「研究の紹介」をご覧の上、本研究の調査対象に該当する患者さままたは代理の方で、診療情報の提供に同意されない方はお申し出ください。