頭痛

頭痛は神経内科だけではなく一般的な疾患として外来診療の多くを占めています。頭痛には他の原因が無いのに慢性的に頭痛発作をくりかえす一次性頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛等)と重大な疾患の症状の一部としてとして出現する二次性頭痛(脳出血、髄膜炎、脳腫瘍等)があります。一次性頭痛は生命には殆ど関係しませんが、片頭痛は人口の8%前後、緊張型頭痛は人口の30~70%の人が経験すると言われています。その一方でCTやMRI等の画像検査や血液検査で全く異常を認めないことから頭痛を専門としない医療機関では充分な診断や治療を受けられず、いわゆる『医療難民』になる事が少なくありません。

北里大学病院ではこれまで坂井文彦元教授(現日本頭痛学会理事長・国際頭痛センター長)・故濱田潤一教授(北里研究所病院頭痛センター・センター長)の元で片頭痛を始めとした一次性頭痛や内科的な二次性頭痛に対する研究・治療を積極的に行ってきました。

現在当科には7人の頭痛専門医が在籍しており、頭痛専門医教育施設として認定されています。また、頭痛日記を利用した慢性頭痛の診断、治療や頭痛体操の指導、漢方外来との協力など、頭痛に対する外来診療も積極的に行っています。

また、基礎研究の分野では片頭痛モデル動物(三叉神経刺激モデル・大脳皮質拡延性抑制モデル)を用いた頭痛の病態解明や実際に患者様にご協力いただき頭痛に関連した生理活性物質の測定を行っており、これまでの当科の研究でorexinという物質が片頭痛の患者様で低下することや、その作働薬が片頭痛と深く関係する皮質拡延性抑制の発生を抑えることが明らかになりました。また近年頭痛の慢性化が問題となっておりますが、頭痛と肥満の関係に着目しレプチンが頭痛の慢性化に寄与している可能性を2015年にCephalalgiaに報告いたしました。

また、臨床研究の分野では、ATP1A2遺伝子に新規の遺伝子変異を有する家族性片麻痺性片頭痛(FHM2)家系における、遷延性前兆を有する片頭痛重積発作時の脳血流変化について新しい知見を得、2012年に第1報をJNNPに報告しました。その後さらに、遷延性前兆の責任病巣の局所脳血流は、発症早期には低下し、発症18時間前後で増加に転ずるという二相性に変化することを第2報として、2015年にJNNPに報告しています。

主な業績

  1. <研究報告書> 分担研究協力者 濱田潤一, 研究協力者 米倉純子 厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)「片頭痛に対する画期的治療法の開発に関する研究」平成19年度総括・分担研究報告書(主任研究者:坂井文彦)pp. 33, 2008.
  2. Yonekura J, Hamada J, Kanazawa N, Sakai F. Plasma orexin-A levels in patients with migraine. The Kitasato Medical Journal. 2008; 38:77-80.
  3. Yonekura J, Hamada J, Kitamura E, Koizumi K, Masuda R, Fukuda M, Sakai F. The change in cortical spreading depression induced by different concentrations of KCl in rats. The Kitasato Medeical Journal. 2008; 38:81-84.
  4. Kitamura E, Hamada J, Kanazawa N, Yonekura J, Masuda R, Sakai F, Mochizuki H. The effect of orexin-A on the pathological mechanism in the rat focal cerebral ischemia. Neurosci Res. 2010;68(2):154-7.
  5. Kitamura E, Kanazawa N, Hamada J. Hyperleptinemia increases the susceptibility of the cortex to generate cortical spreading depression.Cephalalgia. 2015;35(4):327-34.
  6. Iizuka T, Takahashi Y, Sato M, Yonekura J, Miyakawa S, Endo M, Hamada J, Kan S, Mochizuki H, Momose Y, Tsuji S, Sakai F. Neurovascular changes in prolonged migraine aura in FHM with a novel ATP1A2 gene mutation. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2012;83(2):205-12.
  7. Iizuka T, Tominaga N, Kaneko J, Sato M, Akutsu T, Hamada J, Sakai F, Nishiyama K: Biphasic neurovascular changes in prolonged migraine aura in familial hemiplegic migraine type 2. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 86(3):344-353,2015.