片頭痛と私
初めのうちはただ義務感で書いていた。半年?位経ってからか、頭痛の前後に起こる様々な症状が、決してバラバラに起こっているのではないことに気がついた。
コダック
あれは忘れもしない、日本ジャンプ勢が大活躍した長野オリンピックをTV観戦していた時の事、選手の滑走と共に流れる景色を見た途端、めまいと吐気が襲ってきた。目の前がチカチカしてよく見えず、左半身がしびれ、左のこめかみがピクピク。そしてズキンズキンという頭痛が始まった。TVに興奮しすぎたかな?と思ったが、この症状はその後頻繁に現れるようになった。10代の頃二度も原因不明の片麻痺を経験したことがあり、また麻痺するのでは?と症状が出るたびに恐怖を感じた。しかし、何日か続くとそれは嘘のように治まった。 その年の春、花粉症でホームドクターにかかった際に北里大学を紹介していただいた。これが私と片頭痛と北里大学病院との出会いである。先生のすすめで、頭痛日記を書く様になった。後にこの頭痛日記が私にたくさんの福音をもたらしてくれるのだが、初めのうちはただ義務感で書いていた。半年?位経ってからか、頭痛の前後に起こる様々な症状が決してバラバラに起こっているのではないことに気付き、頭痛を赤、しびれを緑、関節痛を青というように色分けしてグラフを書くようにしてみた。さらに、頭痛はおおむね3種類に分けられ、それぞれ随伴する症状の出方が異なる事、同じタイプの頭痛では折れ線グラフの形が似ている事などがわかってきて、それまで一つ一つが点でしか捉えられなかったことが、少しずつ線でつながってきたのだ。 1年を過ぎた頃には、時期によって頭痛の予測も出来るようになった。後に私の症状には3つの疾病が関わっている事がわかる。薬も頭痛のタイプによって効きが違うようだ。私の場合テラナスを常に服用し、後頭部の痛みにはハイペン(鎮痛剤)。 めまいやしびれを伴わない比較的軽い片頭痛では、まずハイペンを飲み、状況が許せば思い切って寝る。大半はこれで治る。めまいやしびれを伴うとタイプでは鎮痛剤は殆ど効かない。前兆を感じたら、イミグランかゾーミッグを飲む。 |
どちらも効くが、問題は服用後30分位して起こるひどい肩や首のこりと後頭部痛。鎮痛剤はむしろこのときに用いた方がよい。新しい薬を試した時も、服用後の変化を頭痛日記に書き加えておく。最近はサボる事もおぼえてしまったが、外来の待ち時間を利用して、まとめている。 片頭痛のコントロールが少しずつ出来てくると、さらにそれが自信となり、昨年4月には学童保育の指導員として復職した。仕事中に発作がでたら…という不安もあったが、緊張感からか意外と少なく済んでいる。今年になってウォーキングも始め、この夏には夢だったフルートも習い始めた。全ては丁寧に診察して下さる先生と、頭痛日記のお蔭である。 医学は、まさに日進月歩。いつかは片頭痛を根治させる方法も見つかるだろう。 最近、外来や頭痛教室でたくさんの患者さんとお会いし、ひどい症状に悩む方の話も聞いた。不思議なことに、他の科にかかっている病歴がお互い実に良く似ているのだ。もしかしたら、片頭痛を治すカギは、そこにあるのかもしれない。頭だけでなく、ホルモン、自律神経、はたまた遺伝子レベルでとらえたら?今は別々の病気として各科に分かれて治療している疾患も、何か共通の原因が見つかるのではないか。また西洋医学と東洋医学を融合させた治療はできないか…など、色々な考えが頭の中をめぐる。 私ももうしばらくは、゛片頭痛くん”とお付き合いしなければならないだろう。具合の悪いときは無理せず思いっきり寝込む事にして、焦らず、そして前向きに、HAPPYなお付き合いを続けていきたいと思う。 |
<Doctor’s Comment>
頭痛日記を大変よく活用して頂いています。 いくつかの病気が、共通の原因を持つ可能性はあります。皆様の体験が集められれば重要な研究テーマになると思います。
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