NICU(新生児科)
NICU

新世紀医療開発センター 新生児集中治療学
教授: 中西 秀彦

北里大学病院周産母子成育医療センターは、神奈川県周産期救急医療ネットワークにおける県央北相ブロックの基幹病院として、地域のハイリスク妊娠・分娩・新生児を幅広く受け入れ、地域周産期医療に大きく貢献しております。なかでも新生児集中治療(NICU)部門は、最大規模の21床(2019年7月から23床に増床)を有しており、神奈川県内だけでなく日本の新生児医療の代表的施設として、新生児のあらゆる疾患に対し関連各科との連携のもとに診断、治療にあたっています。「北里大学病院NICUがあるから安心して出産を迎えられる…」地域の方々が、安心して出産、育児ができるような病院をこれからも目指していきたいと思っております。

北里大学病院NICUが果たす役割とは?

北里大学病院周産母子成育医療センターは神奈川県の基幹病院の一つであり、365日24時間体制で、高度新生児医療を提供しております。「出生」は,赤ちゃんにとって人生の中で一番危険にさらされる瞬間といっても過言ではありません。元気に生まれることは当たり前のようでいて奇跡的なことなのです。我々新生児科医は、NICU(Neonatal Intensive Care Unit; 新生児集中治療室)の場を通じて、生まれてくる全ての赤ちゃんのスペシャリストとして、出生前後の情報や,臨床症状,検査所見から診断アプローチを行い、最善の医療を迅速に提供させていただきます。これまでにも出生体重1500g未満の極低出生体重児、人工呼吸器管理症例、先天性疾患といった多くのハイリスク新生児の入院を受け入れており、入院件数は県内トップレベルです(診療実績参照)。小児の総合病院としての特性を生かし、未熟児・新生児のあらゆる疾患に対し関連各科との連携のもとに診断、治療にあたっています。さらに地域の分娩施設・NICUを有する施設とのネットワークを構築しており、NICUを有する地域の病院(相模野病院、相模原協同病院、大和市立病院)と連携を密にとり、地域の皆さまが安心して出産・育児ができるように、重症患者は当院で受け、中等・軽症例は相模野病院、相模原協同病院、大和市立病院で対応するようにしています。
また当院は大学の教育研究機関病院として、次世代の医療を担う学生への教育はもちろんのこと、日本周産期・新生児医学会が認定する周産期認定施設、NICU認定看護師の育成機関にも認定され、日本の新生児医療を支える後進の人材育成の場として重要な役割を果たしています。
その他、NICUスタッフを中心に、退院後の家族の育児支援の場として“NICU家族の会(通称:ぱんだの会)”を設立し、年1回の家族会、年1回の患者家族を対象とした勉強会を開催しております。今後も、地域の方々が、安心して出産、育児ができるような病院を目指して運営していきたいと思っています。

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主に取り扱っている疾患

  1. 早産児
    在胎期間37週未満の早産児は、正期産児と比べて全身が未熟なため、新生児科医による医療サポートが必要です。週数が小さければ小さいほど、特に呼吸・循環機能が未熟なため、24時間呼吸・心拍モニタリングのもと人工呼吸管理や点滴治療など集中治療が必要です。
    ・呼吸窮迫症候群
    ・新生児一過性多呼吸
    ・未熟児動脈管症
    ・新生児遷延性肺高血圧 など
  2. 代謝、内分泌異常
    高ビリルビン血症、電解質異常、新生児低血糖など
  3. 新生児仮死
    「出生」は人生で最も危険な瞬間だと言えます。分娩前後の何らかの要因で赤ちゃんがストレスを受け、出生後に啼泣することができずに、全身状態の悪化をきたす場合があり、速やかな対応をしないと脳が低酸素・虚血状態に陥り、その後の神経発達に悪影響を及ぼすことになります。北里大学病院NICUでは、院内はもちろん、地域産科小児科からの新生児仮死症例に対しても、24時間体制で新生児搬送を受け入れており、低体温療法などの最先端の医療を提供することが可能です。
  4. 外科疾患
    先天的に神経、頭頚部、心臓、呼吸器、消化器に疾患をもつ赤ちゃんは、生後に手術が必要な場合があります。院内出生のみならず、このような赤ちゃんの院外からの入院依頼があった場合も、24時間体制で新生児搬送を受け入れており、脳神経外科、耳鼻咽喉科、心臓血管外科、小児外科、小児泌尿器科、形成外科など他科の先生と連携して、児の治療にあたります。
  5. 上記以外のハイリスク児
    感染症、多血症、吐血/下血、出血傾向など

診療実績

  2015年 2016年 2017年 2018年
入院
総数
282 252 307 356
極低出生
体重児
49 59 60 76
心疾患手術
件数
33 17 30 19
外科手術
件数
25 21 24 24
人工呼吸
管理件数
97 66 129 197
新生児搬送
受入数
39 34 54 51
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“胎児疾患と診断された家族支援チーム 
Family Care Team for Fetal Disease”のご案内

近年の周産期医療の向上に伴い、様々な疾患が胎児期に診断されることが多くなってきました。それは、出産から新生児の治療への速やかな移行、救命率の向上につながっている一方で、胎児診断されたご家族は、妊娠の喜びから束の間に、胎児の疾患と向き合わねばなりません。疾患を受け入れ、治療に向かっていく間の葛藤は、はかり知ることができません。さらに、出生後は、NICU、小児科、小児外科、心臓血管外科、形成外科など、いくつかの部門にご紹介させていただく場合も少なくはありません。時に、我々はご家族の気持ちに寄り添えていなかったのかもしれない、という反省から、“胎児疾患と診断された家族支援チーム”を立ち上げています。

“胎児疾患と診断された家族支援チーム”は、胎児診断されたご家族たちを支援することを目的とし、医師(産科医、新生児科医、小児外科医など)、助産師、NICU看護師、外来看護師、臨床心理士、保健師等で構成されています。患者様・ご家族の、妊娠、分娩、出生、入院治療、外来への一連とした流れを、サポートしていきます。 我々のサポートを必要とされるかたは、外来・病棟問わず、スタッフにお声を掛けてください。また、こちらから、お声を掛けさせていただく場合もあると思います。

産科病棟主任 金井 雄二
NICU主任 釼持 学

“早産児のフォローアップチーム”のご案内

近年の周産期医療の充実に伴い、より未熟な子供達の救命が可能になってきました。しかし、一方で、合併症の頻度上昇、軽度発達障害を持つ子供が増加している現状があります。早産児の治療は、NICUで終了するわけではなく、外来での成長を見守ることが重要です。そんな、早産で出生された子供たちの、よりよい発育・発達をチームで支える活動をしています。構成メンバーは、医師、心理士、理学療法士、NICU看護師、保健師、外来看護師等です。

1000g未満で生まれた超低出生体重児の子供達を対象に、退院後の継続的なサポート、修正1歳半での心理士、理学療法士のチェック、歴年齢3歳での心理士のチェックを行います。お子様たちの発達具合を客観的なデータとして評価し、到達具合をチェックします。必要な場合には、就園・就学を目指した地域でのサポート体制についてもご紹介させていただきます。

NICU主任  釼持 学

サポートメンバー

氏名 職種 役職・その他
中西 秀彦 医師 教授
釼持 学 医師 NICU主任
大岡 麻理 医師
石田 宗司 医師
山口 綾乃 医師
横関 祐一郎 医師
永岡 靖 看護師 NICU主任
岡田 由紀子 保健士 小児科外来
荒木 淳子 保健士 患者支援センター
野村 優子 理学療法士 リハビリテーション部主任
小林 主献 理学療法士
津崎 心也 臨床心理士
松川 英 臨床心理士

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