分娩は生理的、自然現象であり多くの場合、医療の介入が無いとしても母児ともに問題なく終了します。しかしリスクを伴うことは明らかであり、医療が進歩した現在でも妊産婦死亡は10万人当たり6〜7人、脳性麻痺などの児の神経学的後遺症は出生1000あたり1〜2人とされます。予めリスクを有する場合には対応も可能となりますが、妊娠・分娩経過に異常がなくても予期せぬ緊急事態に遭遇することは稀ではありません。したがってどんな場合でも不測の事態を想定した管理が望ましいと考えられます。そのために妊娠週数が確かで、分娩準備状態が整っていることを確認できれば3940週に十分な管理下に選択的分娩誘発を行っております。緊急事態となれば必要に応じて関連各科の協力が得られ速やかに対応することが出来ます。

 また分娩時には陣痛の痛み、ストレスから解放された快適な分娩体験を提供すべく硬膜外麻酔による無痛分娩を行っております。硬膜外麻酔は陣痛の痛みを感ずる神経を一時的に麻痺させる方法でその安全性は確認され、世界中で行われている無痛分娩に最も適した方法です。
 麻酔分娩と言いましても、全身麻酔ではありませんので赤ちゃんの産声も聞けますし、分娩の最後は、お母さんの力(いきみ)で、赤ちゃんは生まれます。
産科長代行 天野 完