遺  伝 診 療 部

落ち着いた雰囲気の遺伝診療部内観

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入り口側から窓側を見る:

一般的な総合病院の外来診療ブースは通常,患者様入り口の反対側が開放となっています.そしてその向こうに白布カーテン1枚を隔てて横に通り抜ける廊下が 走っていて,ブース内の会話はそちらに筒抜けですし医療スタッフがバタバタと頻繁に通り抜けたりもして落ち着きません.じっくり向かい合ってデリケート且 つ重要な話題について話し込むには適当な環境とは言い難いのが実情です.
私たちはこの2つの問題点,すなわち「プライバシー保護」と「リラクセーション」について検討を重ね対策を講じました.まずプライバシーにつ いては,上の写真をご覧のとおり遺伝診療部に専用の特設の個室を完備しました.閉鎖空間ですので声も外部には漏れませんし診療中は誰も入って来ない ようにしてありますので,患者様やクライアントの方々のプライバシーは完全に守られます.
それからリラクセーションについてですが,遺伝診療部では通常の外来診療ブースとは比較にならないほど広い室内空間を確保してありますので,圧迫感もなく ゆったりとした雰囲気の中で診療が受けられます.遺伝カウンセリングでは1セッション当たりしばしば1時間から2時間,時に3時間以上にも及ぶ事があり ます.この空間,この広さはそんな長時間の診療でも圧迫感,疲労感,過緊張状態の蓄積を極力抑える効果があります.
また,時に遺伝カウンセリングではクライアント・患者様ご本人のみでなく,そのご家族や親類縁者の方々も同伴で来院される事も少なくありません.この部屋 はそれにも十分対応出来るよう,最大十数名様までの入室が可能になっています.大きなテーブルでもソファでもご自由にお選びいただけます.
さらに室内にはご覧のように観葉植物を配し,穏やかなBGMをかすかに流しております.いずれの措置も,ただでさえ強い不安感,恐怖感,怒りの感情や忌避 感,罪悪感や自責の念,悲嘆の情など,強い緊張感と共に様々なネガティブな心気傾向を伴って来院してこられる皆様への,出来得る限りのリラックス誘導への 配慮なのです.
以上,遺伝診療部はクライアントや患者の皆様の不安や過度の緊張を解きほ ぐす配慮に常に心がけています.

コンピュータ設備完備

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窓側から入り口方向を見る

必要に応じコンピュータやインターネットを使用して説明をする事も可能です.
遺伝カウンセリング時の印刷資料もここで作製します.
また臨床診断などの専門医療遂行に必要となる情報収集の一環として,時に患者様の幼少時のお写真やご家族のお写真が必要となる場合もあります.しかし当然 そ れらは患者様にとられても大切な宝物であり,頂く事は出来ません.当科ではスキャナーも備えており,その場でスキャニングの上,遺伝診療部スタッフ以外は 操作がで きないコンピュータに保存します.

遺伝診療部専用カルテ保管庫

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鍵付き扉付きの下半分が遺伝診療部診療録(カルテ)保管庫です.

北里大学病院では診療録(カルテ)について中央集中管理のシステムを採っており,全カルテを病歴センター部で一元的に管理しています.その基本は「1患者 1カルテ」という優れたコンセプトによって貫かれており,医療スタッフが異なる複数の診療科間であっても患者様一人々々の診療上重要な情報を共有する事が 可能です,そ うする事で複数の診療科間での薬の重複処方といった過ちや,逆に必要な治療の欠落等の予防に役立ったりしています.また,現在の診療科では患者様から申告 を受けていないが以前,他科受診時に述べられた禁忌薬情報を他科カルテを見ていて発見するなどというのも,全科一括管理がなされていればこその利点でしょ う.

しかし2003年4月から発足した遺伝診療部では全く別のシステムを採用する事になりました.当診療部では日常,DNA・遺伝子・染色体等々といった極め て高度のプライバシーに関わる 個人情報を扱う事が多く,且つ結婚,妊娠,出産,就学,就職,保険加入などといった人生での大きなイベントに絡んでの相談事も多いために個人情報を高度な 機密として扱わねばならないケースが大半にわたります.しかも遺伝カウンセリングをはじめとした遺伝診療では極めて厳密且つ詳細な家族歴の聴取が必須であ り,それ無くしては診療が成り立たないとさえ言えるために実際上,根ほり葉ほり家系情報を聴取する事になります.そのためそのプロセスの中で,例えば前配 偶者との間に出来ていた子供の情報,それに際して明らかになる離婚歴,流死産歴,中絶歴,隠し子,発達遅延や遺伝病,精神疾患の血縁者の存在等々,常日頃 クライアントがひた隠しに隠してきていた情報を詳細に聞かねばならないという事も少なくないのです.いえ,むしろこの聴取がきちんと出来なければ 正確な予測やリスクの計算も出来ず,不正確な,場合によっては誤った情報を結果的に提供する遺伝カウンセリングにすらなってしまいかねないのです.

個人情報という機密の保護を最優先にせねばならない点が,従来の患者様の利益の為に行われる医療スタッフ間での医療情報の交換・共有というメリットをも凌 駕しう るこの矛盾の行為を採用せねばならないというのが遺伝医療なのです.
そこで遺伝診療部では具体的には上記写真のキャビネット下半分の鍵のかかる扉付きの部分を,これもまた遺伝診療部専用に新規作製・制定した特殊カルテを, ここを保管庫とし中に保管するというシステムを採用しました.つまり遺伝診療部のカルテは唯一,既述の優れたカルテの一元中央集中管理システムから 開院以来初めてはずれる事となり,今春の遺伝診療部開設以来同部から門外不出の扱いとなっているのです.遺伝診療部では,そして遺伝医療の遂行にあたって は,如何にプライバシーの保護が重要でそれに配慮を払わねばならないか,そして現に完成されている優秀なシステムからはずれてまでも新システムを創設せね ばならなかったのか,御理解頂けるかと思います.


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