最新の手術技術も大事ですが、私たちは手術の基本も大事にしています。手術において医師と患者さまをつなぐもの…それは使用する器械類です。
例えばピンセット一つをとっても、より確実に・かつ組織を傷めないように把持でき、術者の意のままに操れる、そのような器械がより良い手術結果をもたらします。
チタンの加工技術で「第4回 ものづくり日本大賞 特別賞」を受賞したCharmantという会社(本社:福井)があります。当科では主任教授清水の指揮のもと、このメーカと共同で日本の技術を活かした、日本人にあった手術器械を開発し世界に発信しています。
日本の“ものづくり”技術を手術の現場へ、少しでも良い手術結果を得るために私たちがしていることの一つです。
硝子体手術では眼底を観察するために、広角観察システム (BIOM®)とスリット照明 (VisuluxTM)を使用しています。広角観察システムにより、通常のコンタクトレンズを用いた場合に比べ、格段に広い視野で眼底を観察しながら手術を行うことができます。スリット照明により細い光線で眼底を照らすことで硝子体が鮮明に見えるようになり、裂孔原性網膜剥離等、周辺部の硝子体切除が必要な症例で十分に硝子体を取り除くことができます。これら2つの眼底観察システムを使い分けることで、安全かつ効率的に手術を行っています。
CO 2(炭酸ガス)レーザーを使用した日帰り眼瞼下垂手術
眼瞼下垂とは、上まぶたが下がって開きづらい状態のことです。見た目にも目立ちますし、しばしば眉毛を吊り上げるために無意識に額にシワを寄せたりアゴを上げたりするため、眼の疲れや肩こり、頭痛の原因となることもあります。原因は様々ですが、先天性と後天性があります。
先天性の場合はまぶたを上げる眼瞼挙筋の働きが不十分か全く働いていない場合に起こり、弱視の原因になる可能性もあります。
後天性の場合は原因は様々ですが、近年の高齢化により加齢性のものが多くみられます。その他、脳動脈瘤による動眼神経麻痺や脳梗塞などによりまぶたを上げる神経が麻痺するもの、神経から筋肉への伝達がうまくいかず疲労するとまぶたが下がるもの(重症筋無力症)、糖尿病によるもの、コンタクトレンズの長期装用によるもの、眼科手術後におこるものなどがあります。
治療は、重症筋無力症や糖尿病など原因の疾患がある場合はまずその治療を行います。手術治療に関しては症状の程度によって決めますが、脳梗塞後や眼科手術後のものは自然回復することもあるので数ヶ月様子を見ます。
手術方法は下垂の状態をみて決定します。老化によって皮膚が垂れ下がっている場合には、余分な皮膚を取り除き縫合する方法をとります。まぶたを上げる筋肉が緩んでいる場合は筋肉をたぐり寄せたり縫い縮めたりして本来の機能を回復させてまぶたを上げます。
当院ではCO2(炭酸ガス)レーザーを使用して日帰り手術を行なっております。メスと比べて出血が少なく短時間・低侵襲の手術です。術後はまぶたが腫れるため、2日間は冷却していただきます。抜糸は術後1週間程度で行います。
まぶたが重いと感じる方や、まぶたを手で挙げたら視界が広がり見やすくなった方は毎週月曜日の斜視神経外来でご相談ください。
新しい線維柱帯切開術Trabectomeを導入し、1年が経過しました
昨年9月より、緑内障手術(流出路再建術)の新しい方法であるTrabectomeが日本で認可され、当院でも昨年の12月より導入いたしました。現在Trabectomeは当院を含め日本で数施設にて行われているのみであり、手術時間が約10~15分と非常に短く、傷口も小さく、手術後の合併症も少ない等の特徴があります。当院での検討では、手術前の平均眼圧が31.9mmHgに対して手術後は16.7mmHgと約43%の眼圧下降が得られており、Trabectomeは若年の患者様や視野障害が重度ではない患者様に対して有用な手術と考えております。対象となる患者様がいらっしゃいましたら、当院へご紹介いただけましたら幸いです。
「最近の当院における白内障手術時の乱視矯正の方法」
乱視があると物が二重に見えたりして裸眼視力が低下し、眼鏡などで矯正が必要です。
主な原因は、角膜の凹凸や白内障によってもたらされます。乱視を完全にゼロにする必要はありませんが、乱視が少しでも少なければより質の高い裸眼視力が得られます。
よって当院の白内障手術では、手術後に残る乱視の量も考えて手術を行っています。手術後に乱視が多く残ると予測される場合は、同時に乱視矯正の方法を検討します。
実際には、軽度の乱視では、角膜の淵に切れ込みを入れて角膜のゆがみを補正する角膜輪部減張切開術を併用します。
また乱視が大きい場合(目安は角膜乱視が2D以上)は、白内障手術時に挿入する眼内レンズに乱視矯正成分も含まれているトーリックレンズを選択します。元々眼内レンズでの乱視矯正は、1994年当院の清水教授により世界初のレンズが開発され、ここ数年は世界の多くの地域で使用されており、良好な成績が得られております。
当院では2009年8月からAcrysof® IQ TORIC(スタイルがT3~T5で、角膜乱視を2Dまで矯正可能)というレンズを使用しており、2011年11月からは使用可能なレンズのタイプにT6~T9(角膜乱視が4Dまで矯正可能)も加わり、さらに大きな乱視の矯正が可能となっています。
角膜乱視が大きい白内障患者様がいらっしゃいましたら、当院へご紹介頂けましたら幸いです。
新しい硝子体手術機器、コンステレーション®ビジョンシステムが導入されました。硝子体手術は眼内に人工の水を流しつつ、目の中をライトで照らしながら、カッターで硝子体を取り除く手術です。この新しい機器により、眼内への水の流れが安定し、ライトもより明るくなり、新たなカッターで硝子体切除の効率が良くなったことで、さらに安全に手術が行えるようになっています。
先日、主任教授、医局長、副医局長、関連病院医長が集まり、関連病院会議が開催されました。これは将来的な見地から北里大眼科医局をより発展するために、何が必要なのか意見集約する趣旨で開かれています。それぞれの病院の現状から医局員の教育・指導方針に至るまで活発な議論がありました。これをもとに、さらに大学と関連病院が連携して医局員の教育・指導にあたることを再度確認しました。(医局長 神谷和孝)
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