プレホスピタル

ドクターカーで現場へ医師が駆けつける
―――――そんな体制整備が日本全国ですすんでいます。
我々北里大学病院ドクターカーも 交通事故から急性心筋梗塞疑いの患者さんまで外因性でも内因性でも重症の可能性があれば医師が現場へ向けて出動しています。

ドクターカーの目的、それは

生命の危機に瀕する重症患者さんを現場治療により安定化させること、と
病院についてからの根本的治療を一刻も早く開始できるように病院到着前から準備しておくこと、の2つがあります。

 前者については緊張性気胸に対する胸腔ドレナージ、下顎骨骨折に対しての気管内挿管、動脈性出血に対する現場止血処置などがあります。後者は心エコーや12誘導心電図などを行いながら急性心筋梗塞と現場で診断したならば根本的治療である緊急カテーテル手術の準備開始を現場から指示、病院へ着いたら速やかに心カテ室へ直行 という体制をひいています。腹腔内出血や骨盤骨折に対する緊急TAE(カテーテルによる塞栓術)も当院救命センターの得意とするところです。ドクターカーの外傷性疾患への有用性は明らかであり、当院でも交通事故、転落外傷などに積極的にドクターカーを出動させています。加えて心筋梗塞症例へ積極的に出動することが当院ドクターカーの特徴の一つでもありこの学術的データは論文などで広く発信してきました。

 北里大学ドクターカーのもう一つの特徴はヘリとの連携です。相模原市は山間部を含んだ広大な面積を有しています。陸送で40分かかるところも珍しくありません。特に山梨県との県境に位置する津久井方面のドクターカー出動事案では県警ヘリ、ドクターヘリとの連携を日常的に行っています。その場合は現場で医師が介入し、北里大学病院屋上ヘリポートへの搬送はヘリで行い、根本的治療までの時間短縮をはかっています。北里大学病院屋上ヘリポートは耐重量11tと大型ヘリポートでかつ夜間照明設備も備えていますので日没後などドクターヘリの運航時間外にも有用です。

 今後も我々は重症患者の救命のため、ドクターカーによる医師看護師の現場出動態勢を積極的にすすめていきます。