教室紹介

1970年の北里大学医学部創設以降、産婦人科は地域医療を支えるのはもちろん、産科分野の「無痛分娩」「周産期救急」、婦人科分野の「初期子宮頸癌のレーザー治療」「早期子宮体癌のホルモン療法」「異所性妊娠のメソトレキセート局所注入療法」等のその時代の最先端の医療技術を積極的に導入し、その成果を国内・世界に発信してきました。

北里大学医学部産婦人科は2011年度に「産婦人科学」を大単位とし「産科学」単位と「婦人科学」単位の2つの単位で構成されるように改変され、2021年6月に加藤一喜が婦人科主任教授として、2022年7月に落合大吾が産科主任教授として着任し、現在に至っております。

北里大学医学部産婦人科では、周産期医学、腫瘍医学、生殖医学の専門医が協働して、それぞれの妊婦さん、患者さんに適した、最適な治療を目指して診療を行っています。

産科教授 落合大吾

産科学では周産期医学分野を担当しています。私たちは、総合周産期母子医療センターとして、地域医療施設と連携しながら、ハイリスク妊娠や様々な合併症を持つ妊婦さんの妊娠・分娩管理を行っています。産科麻酔、小児科、小児外科、救命救急などの関連診療科との連携を密にし、正確な胎児超音波診断から胎児治療や新生児治療につなげたり、産後の大量出血や妊娠高血圧症候群といった母体合併症を治療したりしています。北里大学病院では、内科や外科をはじめとした様々な診療科があり、各々の専門分野のスペシャリストが協働しています。そのため、色々なご病気を抱えた妊婦さんの周産期管理も得意とするところです。合併症を持った妊婦さんは、ご不安な点も多いかと思いますが、私たちは全力でサポートします。

私たちは妊娠・出産時の突発的な出来事に対応するだけでなく、無痛分娩の提供など、可能な限り、個々の妊婦さんの要望にお応えする医療を行うことを心がけています。 例えば、当科では、1970年代に全国に先駆けて無痛分娩を導入して以来、多数の無痛分娩を取り扱ってきました。当院の無痛分娩の特徴は、産科麻酔専門医が産科の分娩室に常駐していること、無痛分娩数の月ごとの予約枠制限が無いこと、平日日中の計画無痛分娩であること、です。したがって、医学的な理由で無痛分娩が望ましい合併症のある妊婦さんはもちろんですが、合併症のない妊婦さんでも無痛分娩のメリット・デメリットを理解していただいた上で、積極的に無痛分娩を選択していただくことが可能です。特に、妊娠の後半になって「やっぱり、無痛分娩がいいな」と思った患者さんにも出来るだけ無痛分娩で出産していただくことを心がけています。なお、他院から転院の場合であっても、妊娠34-35週までに来院いただければ無痛分娩可能な場合が多いと思います。具体的なことは、外来を受診しご相談ください。

是非、北里大学の産科にお越しください。

婦人科教授 加藤一喜

婦人科は大きく分けて、腫瘍医学分野と生殖医学分野があります。

腫瘍医学分野では子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどの悪性腫瘍に対して、正確な診断を行い、手術療法、化学療法、放射線療法などの治療を行っています。子宮頸がん、子宮体がんに対する低侵襲手術(腹腔鏡手術、ロボット支援手術)に積極的に取り組んでおり、良性腫瘍に対するものも含めて低侵襲手術症例数が飛躍的に増加しています。婦人科良性・悪性腫瘍に罹患された患者さんに対して、適応を見極めた上で患者さんとご家族に腹腔鏡でもロボット支援手術でも開腹手術でも適切な術式を提案し、希望する術式をどれでも提供できる体制を整えています。再発率が高く予後不良である進行卵巣がんに対して、最も高い予後改善効果を得るためには初回手術において肉眼的残存腫瘍なしを目指さねばなりません。当科では進行卵巣がんに対する肉眼的残存腫瘍なしを達成するために消化器や横隔膜などの合併切除を標準術式化し、その手術の質は確実性・安全性の面から国内はもちろん国際的にも先進的であると自負しています。また、国内、海外施設も含めた国際的な多施設共同臨床試験に参加しており、より有効ながん治療の開発を目指しています。

生殖医学分野では、不妊症に対して体外受精・胚移植を含めた治療、不育症、婦人科内分泌異常、先天異常に基づく性機能障害等に対する診断・治療、子宮・卵巣などの良性腫瘍の低侵襲手術、子宮外妊娠に対する手術・薬物治療などを行っています。また、これらの疾患に対する研究をおこなっています。最近、年を追う毎に、治療を受けられる不妊症患者さんが多くなっており、体外受精の数、胚移植の数共に増加しています。

腫瘍医学分野と生殖医学分野はお互いに、また産科学分野とも密接に連携を取って、それぞれの患者さんに適した、最適な治療を目指して診療を行っています。是非、安心して北里大学医学部婦人科をご受診ください。