第14回日本移植・再生医療学会 学術集会が、北里大学相模原キャンパスにおいて2018年11月10日に開催され、181名が参加しました。
会長講演
移植医療における看護の専門性をキャリアラダーで考える
会長講演では、北里大学病院における移植医療の経緯やレシピエント移植コーディネーター・院内ドナーコーディネーターが誕生した背景および体制について説明がありました。また、クリニカルラダーやコンピテンシーを交え、専門性の高い人材育成の必要性について述べられました。
特別講演
腎移植医から見た移植医療チーム作り~移植医療支援室の役割~
日本の臓器移植の現状や腎移植の実際についての説明がありました。また、ドナーに関わるグリーフケアの重要性や移植医療におけるシステム構築として、施設での取り組みや課題について述べられました。移植には提供側と移植側がそれぞれに専門家のチームを形成しており、移植医療はまさにチーム医療の典型であるとの講演がありました。
教育講演
臓器提供意思表示への行動変容を支える
移植医療において、「臓器を提供したい人」と「臓器提供を受けたい人」とを結ぶことが大切ですが、日本において臓器提供の意思表示率は高くありません。大学生を対象とした研究において、「臓器提供意思表示への行動変容を支える」ための最適化モデルの構築や、行動変容ステージよる効果的な介入方法について説明がありました。臓器提供に関心がなかった学生が、関心を持ち家族と臓器提供について話し合う機会を設けるなど、具体的な介入方法や行動の変容に、大きな関心が寄せられました。
トピックス講演
イチから学ぼう!腎移植の免疫抑制療法
腎移植の機能低下の最大の要因は拒絶反応です。拒絶反応を起こす理由や免疫抑制剤について、わかりやすく歴史を交えながら説明がありました。また、今後の課題としては、抗体関連型拒絶反応(AMR)をいかに管理していくかが焦点であると述べられました。
口演・交流集会
口演は18演題の発表が行われました。交流集会は「移植におけるチーム医療の実践と課題」とのテーマで開催されました。
シンポジウム
臓器提供と臓器移植の臨床現場において看護を支える教育
「レシピエントになり、ドナーになれなかった患者家族としての経験から~移植医療と看護に望むもの~」
「移植看護を定義・維持発展させていくためには―レシピエント移植コーディネーターの立場から―」
「提供の意思を支える看護―シミュレーション教育の取り組み」
「ドナー移植コーディネーターを育成する学びを在り方~育成すべき資質・能力及び学び続けること~」
シンポジストより、患者家族としての経験から、移植医療と看護に望むものや、それぞれの施設や職種での取り組みについて報告がありました。臓器提供する方、提供を受ける方が安心して、スムーズに移植医療を受けられるような教育について、参加者それぞれが考える機会となりました。
また、特別発言では国内の問題点を踏まえ、看護にむけての期待することについてメッセージをいただきました。
2019.02.07