第16回北里看護研究会は、北里大学相模原キャンパスにおいて2016年12月17日に開催されました。大会長は、北里大学東病院 副院長・看護部長 花井恵子が務め、学校法人北里研究所関連施設、神奈川県近隣の医療・福祉施設の医療関係者を中心に389名の参加がありました。
教育講演
認知症になってからの生き方、支え合い方
さまざまな医療機関などで認知症患者さんや家族の支援活動を続けている永田氏より、認知症患者さんの支え方や看護についてご講演頂きました。
認知症と診断を受けた多くの方々と接し語り合ってこられた経験から、患者さんの心の葛藤、まだやれる、進行を止められない悔しさ、やれることは自分自身でやりたい気持ちなど、リアルな声やその様子についての紹介がありました。また、認知症看護の新たな視点を示すお話しを聴くことができました。
特別企画
北里看護研究会における過去15年間の研究の動向
特別企画では、北里看護研究会設立とその後の経緯、過去15年間に行われた研究発表のうち集録された511件の研究動向について分析結果が発表されました。
この取り組みは、発表を務めた三枝氏を中心に看護管理について自主的に学ぶ主任やリーダークラスの看護師5名が抄読会を重ね「自施設の看護研究に対する今後の課題」を検討する前段階としてまとめた内容です。指定発言の別府看護部長より、本来は組織が行わなければならないと感じていた課題に取り組み、また可視化されたことをうれしく思うとの発言がありました。発表者からも、周囲の反応から達成感を感じており、また研究会の歴史に触れる作業そのものが楽しかったとの言葉が聞かれ、会場は温かな空気に包まれました。
シンポジウム
医療現場に必要とされる認知症ケア
「医療現場での葛藤」
「急性期病院での高齢者ケアチームの取り組み」
「認知症に特有な倫理的課題と意思決定支援」
「認知症の人を理解するとは」
シンポジストより高齢者や認知症の看護ケアについて実践報告が行われました。認知症ケアの取り組みは、医療や介護など施設や役割に伴う違いはありますが、遭遇する倫理的な課題は共通しており、いかなる状況であっても尊厳を大切にしながらケアを展開させていく必要性が共有されました。
交流集会
その人らしくを支えるには何ができるか
話題提供者の4名より、「その人らしくを支える」とは何か、について経験談を交えた発表があり、その後ディスカッション形式で意見交換が行われました。活発な議論が交わされ患者さんのために現状を少しでも改善したいという気持ちで会場が一つになりました。
口演・示説
口演31演題、示説10演題の発表がありました。
おわりに
北里看護研究会は、北里大学看護キャリア開発・研究センター主催、学校法人北里研究所関連施設共催、北里大学看護学部同窓会協賛により開催しています。
多くの実行委員会メンバー、当日スタッフ、学生ボランティアによってその運営は支えられています。
2017.01.31