2016年 熊本地震 北里DMAT活動報告

2016年4月14日熊本地方を震源とする地震が発生しました。その後、4月16日に本震が発生し、震度7が観測されました。
余震も頻発し、被害拡大が予想されたため、厚生労働省からDMATの派遣要請があり、4月18日に北里DMAT(医師2名・看護師2名・薬剤師1名・事務1名)が活動拠点本部となる阿蘇地方へ出動し、4月19日~4月20日に支援活動を行いました。

被災地の状況

阿蘇医療圏は、被害が大きく、阿蘇大橋の崩落、土砂崩れ、建物全壊多数、すべてのライフラインが停止状態であり、避難者数は1万人強となっていました。また、大きな亀裂が地表面に現れ、道路は寸断され通行止めが多く、孤立集落が発生していました。
一帯では家屋が軒並み傾き、敷地が沈下し、家ごと陥没した状態もみられました。

  • 被災地の状況1
  • 被災地の状況2

活動内容

北里DMATは、南阿蘇村の避難所および介護施設のアセスメントと医療ニーズ調査を担いました。避難所は、慢性疾患を有する高齢者率が高く、避難所に入りきらない被災者の多くは自宅に居たり、車中泊をしている状況でした。
介護職員も被害を受け、出勤できない人もいるため限られた人員で高齢者の対応を続けていました。
得られた情報は後任のDMATに引き継ぎ、継続的に支援活動が展開されるようにしていきました。

  • 北里DMAT活動の様子1
  • 北里DMAT活動の様子2

今後の支援に向けて

余震や天候悪化により、ライフラインや道路の復旧遅延が考えられ、今後も避難生活が強いられる状況が続くと思います。長期化する避難生活では、エコノミークラス症候群の増加や衛生環境の悪化による感染症の広がりなどが懸念されます。また、地元で活動している介護職員などの負担が重くなることや精神的なケアが必要な被災者が増えていることなど、避難生活の被害が深刻化してくることが予想されます。変化するニーズを捉え、継続的な支援活動が必要だと考えます。

災害拠点病院としての備え

北里大学病院は災害拠点病院であり、災害時の医療救護活動において中心的な役割を担う病院として位置づけられています。
いつ起こるか分からない災害において、災害医療の知識を身につけ、迅速に対応できる体制を整えておく必要があります。日頃から、人的・物的資源を整備し、実践的な防災訓練を積み重ね、災害拠点病院の役割を発揮できるよう取り組んでいくことが大切です。

最後に

2016年熊本地方でおきました地震で被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。余震の続く中、困難な避難生活を続けられておられる被災者の方々の無事と一刻も早い日常生活への復帰を祈念いたします。

日本DMAT隊員
看護師 丸山直子

2016.05.27

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