「くすり」の開発について
くすりの必要性
今日の医療の中で、くすりは重要な役割を担っています。病院には、毎日たくさんの患者さんが病気の治療や検査のために来院または入院しています。私達医療スタッフは、患者さん1人1人に適切な医療を提供できるよう努力しています。
皆様は、病気の治療方法として、どのようなものをお考えでしょうか?
「くすりで治すことはできないだろうか?」、また「副作用が少なく良いくすりはないだろうか?」と考えたことはありませんか。くすりによる病気の治療(薬物治療)は急速に進歩し、これまで治療方法がなかった病気の治療が可能となったり、手術を行わなくても病気を治せるようになったりしてきました。
医療は、くすりによる治療抜きに考えることはできません。くすりはたくさんの人の「いのち」や「健康維持」に貢献しているのです。
くすりの開発について
くすりは、どのように開発され、患者さんの治療に使用できるようになるのでしょうか。まず、ヒトの役に立ちそうだと思われる「くすりの卵」をラット、ウサギ、イヌやサルなどの動物を使って、からだのどの部分に働くのか、どのように役に立つ作用があるのか、また、どのような好ましくない作用があるのかなどについて、詳しく調べます。
動物でたくさんの試験を重ね、よりヒトの役に立つ可能性の高い「くすりの卵」が選び出されます。ヒトに安全に使用するための前段階として、動物での試験結果はとても重要です。しかし、この動物での試験結果がどんなに良いものであっても、「くすりの卵」はくすりになることはできません。動物とヒトとでは様々なからだの仕組みが異なっているため、動物での効果や安全性は、ヒトと同じではありません。どんなに優れた「くすりの卵」であっても、「くすりの卵」をくすりとして患者さんの治療に使用するためには、ヒトで様々な情報を集め、確認しなければなりません。