北里大学病院・東病院
ME部

Kitasato University Hospital Department of Medical Engineering
Kitasato University East Hospital Department of Medical Engineering

Kitasato University Hospital Department of Medical Engineering

 
DMAT(Disaster Medical Assistance Team)とは、大地震および航空機・列車事故等の災害時に被災者の生命を守るため、被災者に迅速に駆けつけ、救急医療を行うための専門的な訓練を受けた医療チームであり、阪神淡路大震災や中越沖地震、東日本大震災などの大規模震災や、集団災害など様々な場面において活動を担うべく厚生労働省の認めた専門的な研修、訓練を受けた災害派遣医療チームが日本DMATであると定義されています。また、DMAT1隊の構成は、医師1名、看護師2名、業務調整員1名の4名を基本としています。
 DMATは、本部活動、広域医療搬送、病院支援、地域医療搬送、現場活動を主な活動としておりますが、今回は、大規模地震時医療活動訓練と本部活動について紹介したいと思います。
 平成27年9月1日に厚木航空基地で行われた平成27年度大規模地震時医療活動訓練神奈川県では、川崎・横浜直下地震が発生した場合を想定し、厚木航空基地内に設置されたSCU(Staging Care Unit)での活動訓練となりました。北里大学病院DMAT隊は他病院のDMAT隊と厚木SCUへ入り本部設営を行いました。本部設営を行うにあたり、他病院のDMAT隊と顔合わせを行い、本部長を選出、本部長を中心にチームビルディングを行い、それぞれの役割を担い、私は本部のクロノロジー(時系列活動記録)の担当となり本部に入ってくる情報や、指示事項、決定事項を時刻とともに記載を中心に行いました。今回の訓練では、本部の役割である、計画の入手・共有、患者搬入登録、患者選定・搭乗者名簿の作成を行い、患者搬送を行いました。途中、福岡県のDMAT隊計8隊を受け入れ、広域医療搬送、地域医療搬送の起点となり、訓練は終了しました。訓練終了後、本部活動を行ったDMAT隊で反省やまとめを行い、災害時に活かせるよう情報共有を行いました。今回は、クロノロジーの担当でしたが、EMIS(Emergency Medical Information System)と呼ばれる広域災害救急医療情報システムの活用方法、使用方法については反省点が多々あったため今後、EMIS関連を担当した際には、反省点を活かし活動したいと思います。
 平成27年度9月に茨城県で発生した鬼怒川堤防決壊による災害へのDMAT出動がありました。今回の出動では、2チームのDMAT隊が出動し、1隊は、茨城県常総市の被災現場へ、もう1隊は茨城県庁へ設置されている災害対策本部へ向かいました。私は茨城県庁へ向かうチームとして出動しました。今回のDMAT活動では、出動したDMAT隊員だけでなく、院内に設営されたDMAT派遣調整本部にて情報収集・記録、出動したDMATをサポートし全面的にバックアップしていただきました。特に出動の際には、個人装備や個人の準備などはもちろんのこと、チームでの準備を迅速かつ正確に行わなければなりませんが、バックアップがあったためスムーズに出動することができました。
 茨城県庁へ入った北里大学病院DMAT隊はDMAT調整本部の本部長を移譲され、全国から集まったDMAT隊70隊の業務調整や、消防、警察、自衛隊、地元行政との調整を主に行いました。今回の水害事案におけるミッションは①水没・孤立した病院から入院患者の救出・転送②救出された方のメディカルチェック③避難所の衛生環境や医療ニーズの調査がありました。消防や自衛隊と共働し患者、病院職員搬出を行い、約130名の救出を行いました。これらの現場活動が円滑に進むよう県庁内に設置された自衛隊県庁本部、緊急消防隊援助隊本部と連携しながら調整を行いました。DMAT派遣や、搬送救急車手配、受け入れ病院調整についても行いました。急性期のDMAT活動の目途がつき、その後の活動や地元医療支援チームの体制に引継ぎ等行い、DMATは撤収となりました。