北里大学病院・東病院
ME部

Kitasato University Hospital Department of Medical Engineering
Kitasato University East Hospital Department of Medical Engineering

Kitasato University Hospital Department of Medical Engineering

IVRセンター業務

1.業務内容

 
<IVRセンター業務 Interventional Radiology> 
 新病院開院後、血管内カテーテル検査・治療を専門とした最先端医療を展開できる治療エリアをIVRセンターとして運用しています。IVRセンターは、4部屋あり、循環器内科、小児科、脳神経内科、腎臓内科、血管外科、放射線科、泌尿器外科など多くの診療科が関わってカテーテル治療を行っておりますが、多くの治療に立ち合い、機器の操作、記録の管理を行っております。
<スタッフの構成>
IVRセンターでは、特にIVRセンターNo3、No4において心臓カテーテル検査中心に業務を施行しており、成人心臓カテーテル治療に2名、小児心臓カテーテル検査に1名、電気生理学検査に2名のスタッフを配置しております。さらに、IVRセンターNo1、No2では生体情報モニタの管理や圧力測定、人工呼吸器管理など患者の状況に合わせて対応できるスタッフを1名配置しております。

 

 
IVRセンタースタッフエリア
4部屋繋がったスタッフエリア
 
IVRセンター No1
脳血管検査、肝動脈化学塞栓療法など
 
IVRセンターNo.2
脳血管治療 腹部大動脈治療 
 
IVRセンターNo.4
成人心臓カテーテル検査・治療室

 
電気生理学検査業務
心房粗動、発作性上室性心室頻拍などの心筋カテーテル焼灼術だけではなく、心房細動などの肺静脈拡大隔離術、心室頻拍などの治療を行っております。特に、心房細動治療は年々増加し、治療に使用される支援装置などの機器も増加し、心内電位確認、機器操作、心臓電気刺激装置、支援装置の操作、アブレーション機器の準備などを行っております。
 

 
PVI中のIVRセンター風景

 
<活動場所>
 不整脈治療では、スタッフを2名配置し、IVRセンターNo.3で活動しております。支援装置の活躍は、治療時間の短縮、X線被ばく量の削減、治療成功の有無に関与するため、心内心電図の知識や機器原理の知識を相互の知識を持ち、重要な役割を遂行できるように操作しております。
<作業中の写真>
 心室性期外収縮症例での、風景です。心内心電図測定機器の操作、EnsiteNavXの操作を行っております。

 心房細動中治療中での風景です。心内心電図測定機器の操作、CARTO3の操作を行っております。
 

 
Ep-lab装置操作
 
EnsiteNavX 操作
 
Ep-lab操作中
 
CARTO3

虚血心臓カテーテル業務

 
成人心臓カテーテル検査・治療は、IVRセンターNo.4を主体として業務を展開しております。虚血性心疾患心疾患に伴う検査・治療だけでなく、弁膜症や心不全など、心拍出量測定、心内圧測定を行っております。
 

 
ロータブレーター施行中

 
<業務紹介>
虚血性心疾患症例では、バイタルサインの確認や治療内容の記録を行っております。血管治療時間を短く、また適正なステントサイズの選択ができるように努めております。
写真は、光干渉イメージングシステムの操作・測定を行い、血管計の計測、狭窄部の長さなど有意狭窄部血管の情報を確認しております。
 

 
治療中のOCT操作中
 
バイタルサインの確認治療内容の記録

バルーン大動脈弁拡張術(BAV:Balloon Aortic Valvuloplasty)

 
IVRセンターでは、大動脈弁狭窄に対して、カテーテル治療にBAVを施行しております。近年、TAVIが脚光を浴びておりますが、すべての方が対象になるとは限りません。例えば、救命救急・災害医療センターには、ASによる急性心不全で搬送される高齢患者や感染症患者などTAVIや外科的手術の早急な対応が難しい場合に、急性期を乗り越えるためのブリッジ治療としてBAVを施行しております。
 

 

 
<ME業務>
1、 冠状動脈造影
BAV治療前には、冠動脈造影を行い狭窄の有無を確認します。有意狭窄があれば、治療デバイスの準備を行います。
2、 弁口面積算出
治療前後の弁口面積を把握するために、サーモダイリューションカテーテルによる圧力測定、熱希釈法による心拍出量測定を行います。
3、 体外式ペースメーカ管理
BAV施行前に、体外式ペースメーカカテーテルを右心室に留置します。バルーン拡張前にRapid Pacing 180ppmにてペーシングを行い、短時間のLow Output状態の中、バルーンを拡張します。
4、 心腔内エコー準備
右心房、もしくは右心室内に心腔内エコーを留置し、大動脈弁の動きを観察します。
5、 バイタルサインの確認
バルーン拡張に伴う冠動脈閉塞、心タンポナーデ、Rapid Pacingによる不整脈誘発、急性大動脈解離、急性大動脈閉鎖不全など多くの合併症が考えられます。12誘導心電図、観血式動脈圧の確認は重要です。
6、 記録作成
バルーンの種類、バルーンサイズの記載、治療経過に合わせた記録も作成しています。
7、 人工呼吸器管理
救命救急センターに搬送される患者の中には、挿管されている患者もいます。人工呼吸器管理もME管理で管理を行っております。
8、 補助循環装置管理
IABP導入されているケースや治療前にIABPを導入するケースもあります。治療対象患者が、小柄な方や背中が曲がった患者が多いため、事前にIAB選択は重要です。
 

デバイス外来

 
業務内容
 デバイス外来では、国内で販売されているすべてのデバイスに対応した外来を行っております。デバイスは、徐脈治療を行うペースメーカ、心室性不整脈治療を行うICD、心臓再同期療法における心不全治療を行うCRTなど様々なデバイスに対応しております。
<スタッフ構成>
 デバイス外来では、外来ブースには2名のスタッフを配置して対応しております。外来患者数も増加しておりますが、予約時間に合わせたデバイスチェックができるように対応しております。デバイス外来では、デバイスのチェックだけではなく、幼児から高齢の方まで患者に合わせた対応が必要になります。機器の操作スキルだけではなく、コミュニケーションスキルも重要で、患者との会話も大事にしております。
<業務風景>
 限られた時間の中で、デバイスチェックだけが業務にならないように、患者さまの声を第一優先でプログラマーをあえて見せるように、また興味があれば画面の説明を行うこともあります。
 

 
外来風景
プログラマーにでるデバイス情報説明
 
外来ブース準備
来院患者の把握中
 
※写真の掲載には患者さまの
ご了解をいただいております

 
<遠隔モニタリングシステム>
 デバイスの情報は、外来に来院し専用のプログラマーがなければ、デバイスの情報を確認することができません。しかし、最近ではプログラマーに代わる専用機器を自宅に設置することでデバイスの情報を確認できるシステム(遠隔モニタリングシステム)が構築され、当院でも、積極的な取り組みを行っております。
 遠隔モニタリング導入メーカ
 ・Medtronic社製 ケアリンク
 ・SJM社製 マーリンネット
 ・BIOTRONIK社製 ホームモニタリング
 ・BOSTON社製 LATITUDE (S-ICD)
 

 
<着用型自動除細動器WCD:wearable cardiac defibrillator>
 ICD植え込み予定患者が、直ちに手術ができなく退院が必要な場合は、着用型自動除細動器の導入も行っております。
 旭化成ゾールメディカル社製LifeVestの導入を行っております。患者への説明は、MEで行っており、LifeVestNetworkにて送信データの確認を行っております。
 

 
 

補助人工心臓外来業務

 
業務内容
 植込み型補助人工心蔵を装着された患者は月に1度、生命維持管理装置の管理を行っております。外来では、機器点検や予備のシステムコントローラの点検、バッテリーの使用回数などの点検を行っています。患者には、当院独自にVAD手帳を作成し、日常点検シートが記入できるような手帳をお渡ししております。また、手帳には機器取扱い方法、アラーム対応表などの患者ハンドブックに掲載している重要な情報や、患者や病院への緊急連絡先などの記載もできるような工夫を行い、外来管理を行っております。

<スタッフ構成>
VAD外来では、医師、看護師、臨床工学技士、移植コーディネータのスタッフで外来を進めています。定期受診は、月に1回です。

<業務風景>
VAD外来では、看護師による問診、移植コーディネータの問診、その間に予備のシステムコントローラの点検を行っております。
 

 
VAD外来で予備のシステムコントローラ点検風景
 
HeartMateⅡ パワーモジュール
 
駆動音が確認できるため、録音できる聴診器を使用
 
 
 
 
 

人工呼吸器外来業務

 
1. 業務内容
 在宅人工呼吸器を装着された患者は月に1度、生命維持管理装置の管理を行っております。人工呼吸器がなければ呼吸ができないため、機器の正常作動を確認することは重要で院内人工呼吸器チェックリストを使用し、医師とともに呼吸器の設定等を確認しております。
<スタッフ構成>
在宅人工呼吸器外来は、小児科外来が主になります。患者も小児が多いため、予約外来だけでなく、患者家族の都合により外来チェックがあります。そのため、小児科医師、小児科外来看護師と協力し、来院された時には常に対応できるよう1名のスタッフを配置しております。
<業務風景>
 機器の作動状態を毎日確認できないため、外来では患者家族から自宅での様子を確認するとともに機器が正常に作動しているか、チェックリストを確認しております。
 

 
バギーに乗ってこられた患者の人工呼吸器チェック風景
 
フクダライフテック株式会社製
クリーンエア 
 
小児科外来ブース